金色のユーグレナ®が、インフルエンザおよび新型コロナウイルスへの感染予防につながる可能性をヒト臨床試験で確認

~東京大学 定量生命科学研究所 免疫・感染制御研究分野 新藏教授との共同研究成果~

株式会社神鋼環境ソリューションのプレスリリース

 今回、人を対象とした金色のユーグレナ®(*1)(主成分:パラミロンEOD-1®)(*2、3)摂取試験により、唾液中に含まれ、細菌やウイルス等から体を守る抗体(IgA:アイジーエー)(*4)の、2種類のウイルス(インフルエンザウイルスおよび新型コロナウイルス)に対する親和性(*5)(結合強度)が高まることが初めて見いだされました。このことから、金色のユーグレナ(パラミロンEOD-1)の摂取が、これらのウイルスに対する感染防御能を高めることが期待されます。

 2019年から新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、現在は5類感染症に移行しましたが、依然として感染は続いています。また、昨年はインフルエンザウイルスの流行も報告され、様々な感染症に対する懸念が広がっています。引き続き、健康的な生活を送る上で、日常的に免疫機能の維持・向上に努めることは重要であり、本研究が人の免疫機能の維持に貢献できると考えています。

 本研究は、東京大学(総長:藤井輝夫) 定量生命科学研究所 免疫・感染制御研究分野 新藏礼子教授と株式会社神鋼環境ソリューション(本社:神戸市、社長:佐藤幹雄)の共同研究として実施しました。本試験においては、2種類のウイルスの表面にある抗原(インフルエンザウイルス(A型)および新型コロナウイルス(オミクロン株)のスパイクタンパク質(*6))に対する唾液中のIgAの親和性を評価し、金色のユーグレナの摂取がいずれの抗原に対する親和性も向上させることを確認しました。なお、本研究成果は、日本農芸化学会2024年度大会創立100周年記念大会(3月25日)およびIgA抗体医療学会第1回学術集会シンポジウム(4月19日)において発表しました。

 今回、確認された主な結果は以下の通りです。

・インフルエンザウイルス(A型)のスパイクタンパク質に対する唾液中IgAの親和性の向上(図2)

・新型コロナウイルス(オミクロン株)のスパイクタンパク質に対する唾液中IgAの親和性の向上(図3)

 IgAは、細菌やウイルスなどの異物から体を守る免疫グロブリン(抗体)の一種です。主に唾液や鼻汁、消化管分泌液など粘膜面からの分泌液に含まれ、粘膜表面で病原体やウイルスなどに結合することで感染しないように侵入を阻止する働きがあります(図1)。抗体には、特定の細菌やウイルスに結合する特異性があり、私たちは様々な種類の抗体を持っています。それらが、特異性の合う病原体やウイルスに結合することで感染防御に働いています。

図1. IgAによるウイルス感染防御

 今回の試験結果(図2、3)から、金色のユーグレナ(パラミロンEOD-1)は、より強力にウイルスのスパイクタンパク質に結合するIgAの産生を促していると考えられ、結果としてウイルスが人の細胞に侵入することを抑制する(感染防御能を高める)ことが期待されます。

 これまでの研究成果で、金色のユーグレナ(パラミロンEOD-1)は、自然免疫(*7)に働く単球(*8)と獲得免疫(*9)に働くナイーブT細胞(*10)の働きをサポートすることで、生体防御機能を高めることを報告しました(*11)。今回のIgAの親和性を高める作用は、これらの機能が高まった結果である可能性が考えられます。

 金色のユーグレナ(パラミロンEOD-1)は、腸管の免疫細胞を刺激することで作用すると考えられています。今後は、この腸管の免疫細胞に対する作用やIgAの親和性を高めるメカニズムを明らかにしていく予定です。

図2. インフルエンザウイルスのスパイクタンパク質に対する唾液中IgAの親和性の比較
図3. 新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に対する唾液中IgAの親和性の比較

【発表内容】

◆発表タイトル:

日本農芸化学会2024年度大会 創立100周年記念大会

パラミロン高含有Euglena gracilis EOD-1株の摂取が

唾液中免疫グロブリンAの親和性に与える影響

IgA抗体医療学会第1回学術シンポジウム

Euglena gracilis EOD-1 株由来パラミロンの機能性

〜免疫調節機能を中心として〜

◆概要:

1.対象者

健康な成人男女100名

2.試験食品

1日摂取量2粒あたりユーグレナEOD-1株をパラミロンEOD-1として 350mg含有するカプセルを被験食品とした。対照食品は、セルロースを含有するカプセルとした。

3.試験デザイン

二重盲検並行群間比較試験(*12)として実施。被験食品群(パラミロンEOD-1群)にはパラミロンEOD-1含有カプセルを、対照群にはプラセボカプセルを、それぞれ1日1回2粒を毎日12週間摂取させた。

4.主な結果

・インフルエンザウイルス(A/Puerto Rico/8/1934)のスパイクタンパク質(ヘマグルチニン)に対する唾液中のIgAの親和性において、パラミロンEOD-1群は対照群と比較して、有意な上昇が確認された(図2)。

・新型コロナウイルス オミクロン株(SARS-CoV-2 B.1.1.529)のスパイクタンパク質に対する唾液中のIgAの親和性において、パラミロンEOD-1群は対照群と比較して、有意な上昇が確認された(図3)。

(*1)金色のユーグレナとは

株式会社神鋼環境ソリューションが機能性を発見した新規株「ユーグレナグラシリスEOD-1株」を光合成させずにタンクの中で純粋培養したもの。株そのものが持つパラミロンを豊富に含有する特長に加え、光を遮蔽した製造方法を採用することにより、パラミロン含有率は70%を超える。特許番号:特許第6329940号

(*2)パラミロンとは

ユーグレナが体内に貯蔵する独自の成分で、3本の直鎖状のβ-1,3グルカンがねじれあう螺旋構造をしている。食物繊維の一種。パラミロンの形状や含有量はユーグレナの種類や株の違いによって特徴があり、棒状やリング状、球状など様々な形状がある。一般的に、光合成で育てた緑色のユーグレナのパラミロン含有量は7~10%程度である。

パラミロンに関する詳しい情報(パラミロン研究会HP):https://paramylon.jp/

(*3)パラミロンEOD-1とは

株式会社神鋼環境ソリューションが機能性を発見したユーグレナの新規株「ユーグレナグラシリスEOD-1株」に含まれるパラミロン。株式会社神鋼環境ソリューションの研究により免疫力の向上、精神的・身体的疲労感の軽減、自律神経バランスの調整、血糖値上昇抑制、LDLコレステロール低下などの効果を確認している成分。

パラミロンEOD-1に関する詳しい情報:https://eod1-paramylon.com/

(*4)免疫グロブリンA(IgA【アイジーエー】)

細菌やウイルスなどの異物から体を守る免疫グロブリン(抗体)の一種。主に唾液や鼻汁、消化管分泌液など粘膜面からの分泌液に含まれ、粘膜表面で病原体やウイルスなどに結合することで感染しないように侵入を阻止する働きがある。

(*5)抗原に対する親和性

抗体には、特定の細菌やウイルスに結合する特異性があり、その特異性のある部位(抗原)に対する抗体の結合の強さのこと。

(*6)スパイクタンパク質

ウイルスの表面にあるタンパク質で、一部のスパイクタンパク質は感染しようとする体の細胞に結合し、ウイルスを細胞の中に取り込ませる。ウイルスの表面に出ていることから抗体のターゲットとなり、抗体が結合することで感染を抑制できる。

(*7)自然免疫とは

病原体等の侵入者をいち早く感知し、最前線で排除するシステム。自然免疫を担う細胞は、病原体等にあって私たちの細胞には無いさまざまな分子を認識する受容体をもっており、これによって病原体等に速やかに反応してこれをやっつけようとする。

(*8)単球とは

主に自然免疫に働く免疫細胞で、血液を循環する白血球の3~8%を占め、細菌などの異物を細胞内に取り込み、消化する。また、異物の一部を細胞表面に提示し(抗原提示)、これをT細胞が認識する。単球は、組織においてはマクロファージや単球由来樹状細胞に分化する。

(*9)獲得免疫とは

抗原提示細胞と呼ばれる細胞群から病原体等の侵入者の一部(抗原)を提示され(情報伝達を受け)、侵入者特異的に排除する免疫システム。感染した病原体を特異的に見分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会った時に効果的に病原体を排除できる。

(*10)T細胞、ナイーブT細胞とは

T細胞は獲得免疫において中心となる細胞であり、単球などの抗原提示細胞からの外来因子の情報を受けて(抗原提示)活性化し、生体防御に働く。ナイーブT細胞は、病原体等の外来因子に出会ったことのないT細胞であり、CD4陽性ナイーブT細胞は、活性化してヘルパーT細胞となり、CD8陽性ナイーブT細胞は活性化して、キラーT細胞となる。ヘルパーT細胞は、様々な免疫細胞(マクロファージやナチュラルキラー細胞、B細胞など)の機能を調節して生体防御に働き、キラーT細胞は病原体等に感染した細胞を認識して攻撃する。

(*11)金色のユーグレナ(パラミロンEOD-1)による免疫機能調節作用

金色のユーグレナ(パラミロンEOD-1)の摂取が、単球およびナイーブT細胞の働きをサポートすることで、生体防御に働くことを報告した。詳しく記載したニュースリリース:https://www.kobelco-eco.co.jp/topics/news/2023/20231003.html

(*12)二重盲検並行群間比較試験とは

被験食を含む食品を摂取するグループと被験食を含まない食品(プラセボ)を摂取するグループに分けて、この2グループの間で有効性を比較する試験のこと(並行群間比較)。また、各グループの参加者は、それぞれ、どちらの食品を摂取しているかは分からないようにしている(二重盲検)。二重盲検並行群間比較試験は、ヒト試験の試験デザインとしては、非常に信頼性の高い試験方法。