М&Aで新規出店強化
新規出店が伸び悩むなど課題はありつつも、業績が好調に推移しているクスリのアオキ。26年度までの中計で売上高5000億円、1000店舗出店という数値目標を掲げているが、青木社長は「5000億円の達成ははっきりと見えてきた」と自信をのぞかせる。
その背景にあるのが、エリアごとの生鮮MD強化と好立地物件の確保を目的とし、21年5月期より強化している全国各地の地場スーパーのM&Aだ。今期も24年8月に木村屋(千葉県)、9月にママイ(愛媛県)を吸収合併し、同月にムーミー(香川県)から事業譲受した。12月にはハッピーテラダ(滋賀県)を子会社化し、25年2月にはヨシムラ・ハッスル(いずれも奈良県)を吸収合併する。
関西エリアは立地開発が難しく、大型店舗を出店しにくい状況にあるというが、今回のМ&Aで関西エリアの売上高は500億円を超える見通しだ。また、直近では「これまでのМ&Aで最大の案件」(青木社長)という計画外のМ&Aも実施。25年2月に、株式会社伏見屋(秋田県)傘下の本間物産(山形県)、トップマート(千葉県)の事業譲受も決定した。このМ&Aにより秋田県進出を果たし、東北エリアの売上高は既存店を含めて500億円を超えるという。
こうしたМ&Aは24年12月時点で18社まで増え、店舗数は18社合計で129店舗となった。青木社長は「当社の成長戦略の柱になりつつある」と強調。毎年地場スーパーから売却を要望する話が届くという。青木社長は「買収した各社の強みを理解しながらアオキと融合させるのが一番大変な部分だが、他社にはできないと思う。これができれば、出店開発が滞っているなかで大きな強みとなる」と強調する。
そのほか、既存店の改装等の施策もすすめている。クスリのアオキは店舗フォーマットとして、300坪の小型店、400坪の中型店、450坪の大型店を揃えているが、直近2年間で300坪の500店舗を改装。25年5月期は、300坪、400坪の計200店舗を改装する。フード&ドラッグの実現へ、25年5月期末には一部店舗を除き青果や精肉、総菜を全店で導入する予定だ。
生鮮食品のさらなる強化に向け、同社初の総菜プロセスセンターの開設などにも取り組んでいる。そうした生鮮食品などのフードの取り扱いを拡大させて集客率を高めつつ、ドラッグストアの本分も重視。「お客の信頼を得て、利益に結び付けるために必要」(青木社長)として、26年5月期末までに調剤薬局の併設率70%をめざしている。25年5月期上期末で併設率は66.7%となっており、下期にさらに開局する予定だ。
通期の業績予想(連結)は期初から据え置き、売上高が対前期比11.0%増の4850億円、営業利益が同35.2%増の255億円、経常利益が同27.4%増の256億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同47.1%増の181億円を見込んでいる。