コスモス薬品(福岡県/横山英昭社長)が2025年5月期の中間決算を発表した。通期業績で売上高1兆円の大台を射程圏内に捉える同社。1月17日に開かれた決算説明会で、横山社長はディスカウント戦略や今後の新規出店について詳細を語った。
ディスカウント奏功で増収増益
コスモス薬品が1月10日に発表した25年5月期(連結)の中間決算は、売上高が対前年同期比6.2%増の5059億円、営業利益が同28.5%増の203億円、経常利益が同25.5%増の217億円、親会社株主に帰属する中間純利益が同24.5%増の144億円で、増収、営業利益以下の各段階利益はいずれも2ケタの伸びとなった。好調の要因について横山社長は、17日にオンラインで開いた決算発表の記者会見で「24年5月期に利益を度外視してディスカウントを行ったことで既存店が伸び、お客さまの新規獲得が増えた」と振り返った。
25年5月期は過度なディスカウントをやめて原価上昇分をある程度価格に転嫁する政策をとったものの、「(24年5月期に)ディスカウントを行ったことでコスモスが安いことが消費者に浸透した」結果、客足への影響も少なく、既存店売上高対前期比は-0.9%減にとどまり、大幅増益を確保したというわけだ。
なお、既存店売上のマイナス傾向は26年5月期の第1四半期まで続く見通しだが、「この2年でみると平均ではプラス圏で、絶対的な客数は維持できている。他社との相対的な価格差はまだ十分開いており、とくに心配していない」と自信をのぞかせる。
実際、横山社長は「メーカーも小売店も商品原価(の上昇分)以上に便乗値上げしているのではないかと私は思っている。今期も他社が10上げたところをわれわれは5くらいしか上げていない。ローコストオペレーションに磨きをかけ、世のため人のために今後も安く販売できるオペレーションをつくることが小売店として非常に大事だ」と、競合他社よりも価格転嫁の度合いが小さかったことを強調、結果的に価格差が広がったことも好業績の要因と言えそうだ。
生鮮導入へは慎重な姿勢
24年5月期の通期決算で初めて売上高構成比が60%を超えた食品は、中間期末も同水準を維持した(60.7%)。既存店ベースの食品売上高は対前年同期比で0.7%減となったものの、横山社長は「食品の市場規模、販売力、ビジネスモデルを考えると、今後も少しずつ(食品売上は)上がり続けると予想している」と手ごたえを語る。
ただ、生鮮品の取り扱いについては「生鮮3品の集客力は本当に素晴らしい」としながらも、かねて見せている慎重な姿勢を今回も崩さなかった。横山社長は同じく九州を拠点とするダイレックス(佐賀県/五味肇社長)を例に挙げ、「ダイレックスさんは生鮮がある店とない店の集客が全然違う。生鮮を入れている店舗の集客は一目置いている」と集客力は認めつつ「当社は他社に勝てるオペレーションがなければ(生鮮は)取り扱わない。われわれは小売店であると同時に”オペレーション屋”であり、自社で本格的に運営するノウハウがない」と話す。加工食品などすでに注力している分野を強化しながら、生鮮品についてはこれまで同様、テナント募集し、よいパートナー事業者を探す考えを示した。