ベイシア、家庭の使用済み食用油を回収し燃料へ再利用 前橋市内7店舗でリサイクル事業を開始

ベイシア(群馬県)は10月10日、吉川油脂(栃木県)および田中鉄工(佐賀県)と共同で、家庭で使用された食用油を回収・リサイクルする事業を開始した。
同事業では、家庭から出る廃食用油をリサイクルし、将来的には回収店舗の拡大に加え、持続可能な道路舗装燃料「BAF(Biomass Asphaltplant Fuel)」および航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」への活用も視野に入れている。
まずは群馬県前橋市内のベイシア7店舗で、リターナブルボトルや使用済み容器(ペットボトルなど)に入れた廃食用油を回収。回収した油は吉川油脂が精製し、前橋市内のアスファルトプラントで重油代替燃料として使用される。また、ENEOS(東京都)が和歌山製油所で事業化を進めるSAF製造プラントでも、原料として活用される予定だ。
日本では年間約10万トンの家庭系廃食用油が発生しているが、その多くが可燃ごみとして廃棄されている。こうした中、同社は回収・リサイクルを通じて脱炭素・循環型社会の実現を目指している。
ベイシアではこれまで、プラスチック容器やペットボトルの回収、レジ袋削減などを通じてリデュース・リユース・リサイクルの取り組みを推進してきた。今回の取り組みでも、店舗を資源回収の拠点として活用し、今後は対象店舗を拡大。地域住民と協力しながら、廃食用油の再資源化によるBAF・SAFの普及を進めていく。
吉川油脂は、生活や経済活動で使用された廃食用油を一滴も無駄にせず回収し、飼料用・工業用・燃料用の高品質な再生油としてリサイクルする取り組みを進めている。
一方、田中鉄工は、アスファルトプラントメーカーとして「道路舗装業界のカーボンニュートラル達成」を掲げ、前橋市で回収した廃食用油を道路舗装のバイオマス燃料として利活用するプロジェクトを推進。市内での“地産地消エネルギー”活用を通じて、ゼロカーボンシティの実現を目指している。
各社は、家庭から排出される廃食用油を新たな「資源」として活用し、資源循環やCO₂排出削減などを通じて、脱炭素・循環型社会の構築に向けた取り組みを進めていくとしている。