イオン北海道、中間決算は増収減益 下期は客数増図り巻き返しへ
イオン北海道(北海道/青栁英樹社長)は10月14日、2026年2月期第2四半期決算を発表した。売上高は過去最高を更新したが、営業利益以下の各段階利益は減益、既存店客数も前年同期を下回るなど不安要素の残る中間決算となった。下期は最重要課題の一つに客数の増加を掲げ、巻き返しを図る。
ディスカウントストア「ザ・ビッグ」が好調に推移
イオン北海道の26年2月期第2四半期決算は、売上高が対前年同期比9.9%増の1859億円で過去最高を更新した。一方、営業利益は同20.0%減の26億円、経常利益が同30.1%減の22億円、中間純利益も同26.0%減の11億円と営業利益以下の各段階利益は前年を下回った。

増収の要因としては、西友(東京都/楢木野仁司社長)の札幌市内の9店舗承継に伴いシェアが拡大したほか、既存店売上高の伸長と、「ザ・ビッグ」の屋号で展開するディスカウントストアの売上高が好調だったことが寄与した。一方で、積極的な人材投資などにより、販管費をはじめ各種コストの増加をカバーできず減益となった。7%の賃上げや、西友から承継した店舗の設備投資額の増加などが影響したという。また、粗利益率が高い衣料品の売れ行きが伸び悩んだことも一因となった。
業態別の業績は、総合スーパー、食品スーパー、ディスカウントストアの全業態で売上高が伸長した。とくに「ザ・ビッグ」が好調で、売上高が同14.4%増の318億円、既存店売上高は同5.7%増と好調だった。総合スーパーは同10.6%増の1022億円で既存店売上高は同0.8%増、食品スーパーは同6.1%増の545億円で、既存店売上高は同2.0%増と伸長した。

上期の新規出店は、3月に出店した「まいばすけっと北3条17丁目店」(札幌市)の1店舗のみ。改装は、西友から承継した「ザ・ビッグ元町店」「ザ・ビッグ福住店」(いずれも札幌市)の2店舗で実施。冷凍・冷蔵ケースを入れ替えるなど大型投資を行っている。
客数の回復が重点課題
上期で課題となったのは既存店客数の減少だ。ライン別にみると、衣料は同4.4%減、住居余暇は同2.4%減、食品は同0.5%増で、全体では同0.2%減となった。こうした状況を受け、青栁社長は下期の最重要課題に、客数の増加と売上総利益の確保を挙げた。
客数増加の施策としては、「店舗の魅力向上」を掲げ、差別化商品の開発・販売と価格対応に取り組む。
まず差別化商品の開発については、イオン北海道のオリジナル商品として「本気!の唐揚げ」の販売を10月から開始したほか、既存の「本気!の肉じゃが」などもリニューアルして来店動機につなげる。
価格対応に関しては、イオン(千葉県/吉田昭夫社長)グループのプライベートブランド「トップバリュ」の一部商品を値下げしたほか、「トップバリュ ベストプライス」の販売を全店で強化する。消費者の節約志向が進む中、上期のトップバリュの売上高は対前年同期比4.7%増と伸長しており、とくにトップバリュ ベストプライスは同13.8%増と著しい伸びを見せているという。高頻度で購入する商品の価格を訴求した販促セール「安い値!」は計画未達となったことから、価格帯の見直しを実施する。

そのほかの客数増加の施策としては、西友から承継した店舗のリニューアルを行う。そのうちの1店舗「イオン札幌清田店」は承継後、25年11月にイオン業態でオープンしたが、26年11月より好調の「ザ・ビッグ」に業態転換する。需要が拡大しているネットスーパーは商圏を拡大し、新たに礼文島、利尻島、奥尻島の離島3島へ2万品目以上の配送を始める。
売上総利益の確保については、粗利益率の高い衣料品の販売を強化する。とくに注力するのが、オリジナル商品の開発だ。北海道の気候を踏まえ、需要が高い防滑シューズや、独自の機能性、デザインを取り入れたアウターを販売する。また、メンズでビジネスカジュアルブランドの商品が好調だったことを受け、レディースでもビジネスカジュアルの商品を拡充し、低価格帯のセットアップ商品などを売り込む。
通期の業績予想は期初予想を据え置き、売上高を同7.9%増の3820億円、営業利益を同24.2%増の98億円、経常利益を同18.5%増の95億円、当期純利益は同38.6%増の50億円を見込んでいる。