小売店に定期ヒアリング=「米騒動」検証し対応策―農水省

スーパー「アキダイ関町本店」のコメ売り場に掲示された購入制限を知らせる張り紙
スーパー「アキダイ関町本店」のコメ売り場に掲示された購入制限を知らせる張り紙=25日、東京都練馬区(時事通信社)

  農林水産省は30日、食料・農業・農村政策審議会(農水相の諮問機関)の部会を開き、店頭でコメが品薄となった「令和の米騒動」の原因などを検証した。8月の南海トラフ地震の臨時情報を受けた買い込み需要に供給が追い付かなかったと分析し、今後は小売店に定期的なヒアリングを実施。売れ行きや仕入れ状況に関し早めに異変を察知することで対策につなげたい考えだ。 

 ヒアリングでは、スーパー・米穀店といった小売店や外食事業者について、業界団体を通じて状況の変化を聞き取る。これまでは卸売業者と活発に情報交換を行ってきたが、これからは消費者に近い業者との連携も強化することで販売現場の実態把握に努める。

 農水省は部会で今夏の品薄に関し、各流通段階での販売数量の変化などを説明。委員からは「在庫情報などを可能な範囲で踏み込んで発信すれば安心感につながる」といった意見があった。備蓄米の活用ルールを柔軟化することについて問われた農水省幹部は、「役に立てることがあるのかどうか検討を積みたい」と回答した。

 農水省は部会でコメの需要量も提示し、2023年7月から24年6月までの1年間は、前年より14万トン多い705万トン(確定値)とした。ただ、長期的な需要の減少傾向は続くとみており、24年7月からの1年間は674万トン、25年7月からの1年間は663万トンと見込む。24年産米の収穫状況や消費動向を見極めた上で、年明けに見直す方針だ。    

◇「米騒動」の分析を踏まえた農水省の対応策
▽主要な集荷、卸売業者に対し、端境期の前から集荷や販売、在庫量を毎週調査
▽スーパーや米穀店の流通実態に関する定期的なヒアリング
▽消費者に分かりやすい情報発信
▽毎月、需給の基本情報について記者向け説明会