平和堂、三菱UFJ銀行と提携し個人向け金融サービスを開始
平和堂(滋賀県)が三菱UFJ銀行(東京都)と提携し、2025年12月1日に個人向け銀行サービス「HOPBANK powered by 三菱UFJ銀行」(以下、HOPBANK)を開始する。食品小売として銀行代理業の許可を受け、フルバンキング型のBaaS(Banking as a Service)事業を展開するのは国内初となる。

HOPBANKの主要な機能
HOPBANKは、三菱UFJ銀行のBaaS基盤「&BANK」を活用した平和堂専用の銀行サービスだ。HOPBANKアプリをダウンロードして口座を開設し、平和堂が提供するスマートフォンアプリ「HEIWADO HOPアプリ」(以下、HOPアプリ)と紐づけると、HOPBANKを通じて預金・振込・融資などのサービスが利用できるようになる。銀行取引の結果に応じて平和堂の直営売場などで利用できるHOPポイントが貯まる仕組みだ。
平和堂はサービス開始にあたって、金融に不慣れな顧客でも安心して利用できるよう、「フレンドマートスマート」などの小規模フォーマットを除く約160店舗で、対面による口座開設やアプリ操作のサポート体制を整える。12月1日からは、口座開設や入金などの条件を満たすと計8100ポイントを付与するキャンペーンを実施し、初期利用を促進する。そのほか、滋賀県彦根市の商業施設「ビバシティ彦根」など主要店舗で、住宅ローンや資産運用をテーマにした金融教育イベントも開催する予定だ。
HOPBANKの情報を販促に活用
HOPBANKで平和堂が重視するのは、購買データと金融データの統合と活用だ。平和堂が保有する約420万人のHOP会員データと、三菱UFJ銀行が持つ金融行動データを掛け合わせることで、顧客のライフステージに応じた情報提供や販促につなげる構想だ。たとえば給与振込や子ども手当の受取データから家族構成や支出傾向を把握し、住宅ローンや教育費の最適化、さらにはHOPアプリで関連商品の提案を行う。
平和堂はこの銀行サービスを従来のHOPマネーやHOP VISAなどの決済サービス、直営の保険ショップによる保険サービスに続く「第三の金融サービス」と位置づけ、日常支出と資産形成をつなぐ新たな経済圏の構築をめざす。平和堂の平松正嗣社長は「地域の暮らしを支える存在として、消費だけでなく家計全体に寄り添う企業に進化する」と力を込めた。
買物という日常の場で金融と接する仕組みを通じて、顧客の生活をより便利で安心なものへ導く――。HOPBANKは、小売業が地域金融の一翼を担う新しいモデルとして注目される。