アメリカで急速に広がる「シードオイルフリー」の潮流とは

アメリカでは近年、シードオイル不使用という食のトレンドが広がっている。シードオイルとはキャノーラ油や大豆油、コーン油、ひまわり油など種子由来の植物油を指し、長らくファストフードやスナック菓子などの加工食品や外食産業で広く使われてきた。しかし、オメガ6脂肪酸の過剰摂取や精製過程での酸化リスクへの懸念から、これを避ける消費者が増えている。

「シードオイルフリー」の第三者認証制度がスタート

 「シードオイルフリー(不使用)」へのニーズ拡大に伴い、米国では2024年に第三者認証制度「Seed Oil Free Certified®」が立ち上げられた。この認証は、食品や飲料メーカーが「シードオイルを一切使用していない」ことを客観的に証明し、認証を受けた製品はパッケージに専用ラベルを表示できる仕組みだ。

 データ分析会社SPINSの調査によれば、25年第1四半期に認証製品の小売売上は対前年同期比216%増、直近12週間では410%増と大幅に伸びている。自然食品系小売店では124%、一般スーパーでも225%の伸びを記録しており、消費者調査ではアメリカ人の約28%が「シードオイルを積極的に避けている」と回答している。

アメリカではシードオイル不使用の商品の売れ行きが好調

 さらに、「スナックや冷凍食品、パントリー用品など複数のカテゴリーで認証取得ブランドが増えており、パッケージに表示される Seed Oil Free Certified® Sealが差別化や信頼性向上につながっている」と、Seed Oil Free Certified®のプレスリリース(25年6月発表)の中で述べられている。

 スナックブランドDaily Crunchの共同創業者Laurel Orley 氏も「認証マークを通じて、消費者に当社が彼らの価値観に合致したブランドだと伝わり、実際にブランドへの好影響を実感している」とコメントしている。

 全米1万6000以上の店舗で商品を展開する冷凍食品メーカー Real Good Foods は、25年7月に全米規模で初となる「シードオイルフリー・ブレッドチキン」を発売した。従来よく使われてきたキャノーラ油などの工業的シードオイルを排除し、代わりにピュアなビーフタローを使用している。

 同社CMOのRikki Ingram はFood Diveの取材に対し、「”no seed oil”のムーブメントが消費者の間で長く話題になっていたことを受け、この方針に踏み切った」と述べている。消費者からの反応は「圧倒的にポジティブ」とされており、同社は他の製品ラインにも順次拡大していく方針を示している。

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