セブン-イレブンの商品配送に自動運転トラックを活用へ 実証実験を開始
セブン–イレブン・ジャパン(東京都/阿久津知洋社長:以下、セブン–イレブン)が自動運転トラックで商品を配送する実証実験を始める。三井物産流通グループ(東京都/柴田幸介社長)と、自動運転トラックの開発などを行うT2(東京都/熊部雅友社長)と共同で実施。自動運転トラックを使った実証実験は、コンビニエンスストア・食品スーパー業界では初の試みだという。そのねらいとは。

夜間配送便を集約し積載率改善
物流を取り巻く状況は近年深刻化している。国土交通省は、2030年に日本全体の輸送能力が34%不足するという予測を公表。「物流の2024年問題」によるトラックドライバーの労働時間規制やドライバー不足の影響などもあり、納期の遅延や遠隔地への配送困難など、さまざまなリスクが懸念されている。
物流問題による食品小売業への影響は避けられず、輸送力の確保は急務だ。セブン–イレブンはこうした状況に対応すべく、持続可能な物流体制の構築に取り組んできた。すでに実施しているのが、夜間納品便の集約と常温商品のリードタイム変更だ。
夜間納品便の集約では、積載率が低い午後9~11時と午前2~4時の2便を1便に集約した。積載率は34%から62%に改善され、ドライバーの拘束時間の短縮につながったという。現在は9500店舗で実施している。
常温商品のリードタイム変更においては、これまでは発注を受けて当日に常温商品を配送していたが、翌日配送に切り替えた。計画的な配送計画を立てることで、ドライバーの負担軽減に努めているという。
すでに物流問題への対応を進めてきたセブン–イレブン。将来的にさらなるドライバー不足が懸念されていることから、新たな施策を模索するべく今回の実証実験を行うことを決めた。
セブンプレミアムの常温商品を配送
実証実験は、埼玉県新座市の物流センターから兵庫県尼崎市の同センターまで約520kmのうち、高速道路の一部区間(450km)で実施する。トラックには運転手が乗車し、アクセルとブレーキ、ハンドル操作の一部を自動化する「レベル2」で運行する。

トラックはT2が開発した10トントラックを使用。拠点となる物流センターは三井物産流通グループが運営しており、荷物の積み込みや荷卸しなど輸送に関連するオペレーションは三井物産流通グループが統括する。
配送するのは、セブン–イレブンの親会社、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/スティーブン・デイカス社長)が展開するプライベートブランド「セブンプレミアム」の常温商品だ。傘、カップみそ汁、キッチンペーパー、ソフトパックティッシュなど軽量の商品を扱う。

また、トラックの燃料にはバイオ燃料を軽油に混ぜた「B5軽油」を使用する。ここで使うバイオ燃料は、学校給食や一般家庭などから回収した使用済みの食用油を原料にしたもの。サーキュラーエコノミーの一環として、これまでもセブン–イレブンでは店舗配送車へのB5軽油活用を行っており、今回の実証実験で自動運転トラックに初めて使用する。
セブン–イレブン執行役員 QC・物流管理本部長の山口繁氏は「取扱品目が非常に多岐にわたるコンビニエンスストアという業態にとって、物流はビジネスの生命線と言っても過言ではない。将来の物流危機に向けてドライバーの方の負担を軽減し、環境負荷の削減にも配慮しながら、持続可能な物流体制の構築を図っていきたい」と語った。
T2が開発した自動運転トラックによるレベル2の商用運行は、25年7月より配送業者などの9社がすでに導入している。セブン–イレブンも実証実験を経て、本格導入するか検討する。