Twilio、日本を含むアジア太平洋地域7カ国で「デジタル忍耐力」を調査

Twilio、日本を含むアジア太平洋地域7カ国で「デジタル忍耐力」を調査
(Twilioより引用)

 企業向けに通話・チャットなどの通信機能を提供するクラウド通信サービス企業であるTwilio(トゥイリオ、米国)は11月28日、人間およびAIによるカスタマーサポート利用時の「忍耐力」について、日本を含むアジア太平洋地域7カ国の消費者を対象とした調査結果を発表した。

 同調査「デジタル忍耐力調査:アジア太平洋地域のデジタルユーザーは我慢の限界を超えているのか(Decoding Digital Patience: Are Asia Pacific’s Digital Users Losing Their Cool?)」によると、日本の消費者の88%が「カスタマーサポートを受ける際には、自分も忍耐強く、礼儀正しくあるべきだ」と感じていると回答した。

 一方で、実際にオンライン上で購買やサービス対応といったやり取りをする際に「忍耐を保っている」と答えた人は65%にとどまり、アジア太平洋地域平均(68%)を下回った。オンライン上では、消費者は自分が考えているほど忍耐強くいられないことが明らかになった。

 調査では、日本の消費者はAIによるカスタマーサポートに対する忍耐力が、調査対象国の中で最も低いことも分かった。人間対応よりもAI対応の方が忍耐力が下がる傾向が見られ、人間の担当者と電話でやり取りする場合は76%が「比較的忍耐強くいられる」と回答し、ライブチャットでは67%だった。

日本人のカスタマーサポートへの忍耐力
(Twilioより引用)

 これに対し、AIチャットボットとの対話では55%、自動音声メニューでは54%にとどまった。さらに、AIによるカスタマーサポートに「満足している」と回答した日本の消費者は24%で、調査対象国の中で最も低い結果となっている。

 また、日本の消費者のデジタル忍耐力は状況によって差があることも明らかになった。医療や旅行の分野では忍耐力が比較的高く、「診察後の次回予約手続き」(60%)や「ホテルに忘れた小さな私物の受け取り」(59%)では、比較的寛容な対応を示す人が多かった。

 一方、配達やテクノロジー、小売といった分野では忍耐力が低下する傾向が見られ、「サービス停止への対応」(51%)、「誤った配達物が届いた際の対応」(50%)、「高額商品の配送トラブル報告」(48%)などの場面では、いずれも日本がアジア太平洋地域の中で最も低い結果となった。

カスタマーサポートへの忍耐力
(Twilioより引用)

 さらに、日本の消費者は問題が「19分以内に解決されることを期待している」と回答しており、アジア太平洋平均(24分)を下回り、調査対象国の中で最短となった。迅速で効率的な対応に慣れてきた市場環境が、こうした高い期待値につながっていると分析している。

 AI対応に対する不満点として最も多かったのは「質問の意図が理解されないとき」(38%)で、「回答が機械的であること」(36%)、「問題解決が迅速でないこと」(33%)が続いた。満足度が期待を下回った場合、「企業・団体への印象を下げる」(30%)、「カスタマーサポートの利用を中断し、自分で問題解決するためセルフサービスに切り替える」(29%)、「取引自体を中止する」(26%)と回答している。

 一方で、日本の消費者の49%は「問題解決さえされればカスタマーサポートが人間主導かAI主導かということには、特にこだわりがない」と回答した。AIによる対応であっても、迅速かつ確実に問題が解決されれば、受け入れられる余地があることを示している。

 ただし、「複雑またはデリケートな問題のとき」や「AIを試したものの問題が解決しなかったとき」には人間による対応を求める傾向が強く、90%が「AIから人間の担当者へ簡単に引き継げること」を重要だと感じている。

 Twilioは、日本市場においてAIを活用したカスタマーサポートを成功させるには、「明確さ」「選択肢」「継続性」「思いやり」を重視した設計が不可欠だとしており、消費者の忍耐度と期待を正しく理解した上でのAI活用が重要だと指摘している。

【調査概要】
調査委託先:YouGov
調査期間:2025年8月28日~9月4日
調査方法:オンライン調査
調査対象:アジア太平洋地域7カ国の18歳以上の消費者7,331名(うち日本1,000名)
調査国:日本、オーストラリア、香港、インド、インドネシア、フィリピン、シンガポール

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