クスリのアオキホールディングス(石川県/青木宏憲社長:以下、クスリのアオキ)が2025年5月期(24年度)の中間決算を発表した。フード&ドラッグへの転換を進め、全国各地の地場スーパーマーケット(SM)のM&A(合併・買収)で注目を集めている同社。26年度までの中期経営計画(中計)で数値目標に掲げる売上高5000億円を射程圏内に捉えている。
既存店好調で増収増益
クスリのアオキが24年12月26日に発表した25年3月期(連結)の中間決算は、売上高が対前年同期比12.6%増の2,428億円、営業利益が85.5%増の126億円、経常利益が84.9%増の129億円、親会社株主に帰属する中間純利益が152.0%増の86億円の増収・増益だった。なお、中間純利益は株式報酬費用を除いた場合は同4.5%の減益となる。
好業績の要因の一つが、既存店売上高の好調な推移だ。既存店売上高は対前年同期比7.0%増で、各月の売上高はすべての月で前年同月実績を上回った。25年1月8日に開かれた決算説明会で、取締役管理部門担当の八幡亮一氏は「既存店売上が想定を上回る伸びだった」と説明。既存店客数も対前年同期比4.4%増と好調だった。既存店での生鮮食品販売強化や改装、ハイ&ローからEDLP(エブリデーロー・プライス)へ移行した価格政策が寄与。商品部門別実績では、とくにフードの売上高が大きく伸びており、通期では対前期比15.0%増の2431億円と、売上高構成比は50.1%を占める見通しだ。
一方で、新規出店数は伸び悩んだ。同社では、22年5月期は新規出店数が102店舗まで伸びたが、24年5月期には45店舗まで落ち込むなどこの2年は新規出店で苦戦。その流れもあり、25年5月期は70店舗の出店を計画しているが、中間期末では15店舗に留まった。この点について青木社長は、建築費の高騰や好立地物件の減少が影響したと説明。24年から立地開発の基準を引き下げたほか、フード&ドラッグへの業態転換で徐々に収益性改善がすすんでいることから、25年5月期下期は新規出店を強化し、過去最高の55店舗を出店できる見通しを示した。青木社長は「出店戦略は直近で最大の課題だ」とし、「上期は低迷したが、下期はV字回復できる見込みだ」と語る。26年5月期は過去最高となる120店舗を出店する予定だ。25年5月期中間期末の時点の店舗数はドラッグストア、調剤専門薬局など計975店舗となっている。