「香りの言語化」で酒類の購買体験を変える! AIソムリエ「KAORIUM」の実力とは
KAORIUMが実現する新しい購買体験
KAORIUMの導入によって、消費者の選択や購入動機に関わるデータが日々蓄積されている。これらの利活用がもたらす小売やサービスの深化、未来像について金子氏は「お客さまの主観的なデータから、季節ごとのトレンドや特定地域での好みの傾向を捉え、分析結果を小売店にフィードバックすることで、棚割の見直しや仕入れの最適化につなげることができるのではないか」と話す。同社では、将来的に蓄積データをもとに、よりパーソナライズされたアプリの開発も検討しているという。
こうした取り組みは、国内市場にとどまらず、海外展開も視野に入れている。近年、日本酒の輸出額は増加しているものの、海外市場での定着率は依然として低い。金子氏は、「純米吟醸といった製法による分類は海外の消費者には伝わりづらいが、“フルーティー”といった感性ワードであれば、文化や言語の壁を越えて共感を得やすい。KAORIUMを活用することで、日本酒の魅力や楽しみ方を海外にも届けていきたい」と話す。
その言葉通り、同社は24年5月にイギリス・ロンドンに営業拠点を開設。現地の催事への出展など、グローバル展開を進めている。

KAORIUMがめざすのは、単なる販売促進ツールではなく、顧客の感性に寄り添った豊かな購買体験、『リテールテイメント』の提供だ。生成AIが、日々進化を続ける中でも、「香り」という感性領域において、深みのあるデータと体験価値を提供できるポジションの確立をめざす。
AIと人間の感性を融合させ、これまで言語化が難しかった「香り」の世界に新たなコミュニケーション軸を生み出したKAORIUM。これは単なる市場活性化にとどまらず、感性評価が切り拓く新たな体験と可能性を社会にもたらすだろう。