第122回 「価値の時代」の令和に、ショッピングセンターは世に何を提供できるか?
適正な価格転嫁を許容する「価値の時代」令和
昭和が「製品の時代」、平成が「価格の時代」、それに対して令和に期待するのは「価値の時代」である。
価格競争によってもたらされた結果は、賃金の上昇が無く、経済成長も無い30年だったことに鑑み、今後は適正な価格転嫁による物価上昇を許容することが大切ではないだろうか。もちろん、価格に見合う価値があってこそだが、iPhoneが20万円を超えても売れるのがその証左であろう。価値があれば対価を払う。
SCが消費者に提供できる価値とは
1969年、玉川髙島屋S.C.から始まったSC事業もこの経済成長下に形成されたトレンドや価格破壊を取り込みながら成長してきた。しかし、残念ながら2024年まで6年連続の減少となり、今後も増加の兆しは無い。SCに価値がなければ投資はしない。
この環境下では、既存のSCがどういった価値を消費者に提供していくのか。そこに議論を集中させるときである。これまでの販売機能と賃料収受だけで成長してきたSCの価値では、投資も消費も向かないビジネスと場所になってしまう。令和はSCにとって、投資と消費を呼び込む新たな価値を提供する時代となっている。
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