京都ローカル「生鮮激安市場!」にみた、「小商圏高占有率戦略」の勝ちパターン

売場随所に差別化商品を差し込み!

 広域からの集客戦略を支える、もう一つの仕掛けが直営インストアベーカリーだ。木幡店で7店舗目の導入となる「ぷりえ」はすべてのパンが100円均一という点が大きな特徴。朝食需要に応えるため、食品売場の開店時刻(9時30分)よりも早い、午前7時から営業しており、連日、多くのお客でにぎわいを見せている。

広域からの集客戦略を支える、もう一つのコンテンツが直営インストアベーカリー「ぷりえ」
午前7時から営業しており、連日、多くのお客で賑わっている

 低価格を実現できるのは、原材料を食品スーパーで仕入れるほか、プロセスセンター的な役割の店舗で集中製造などを行なっているからだ。夕方には地元の学生が目当てに来店、若年層の集客にも威力を発揮している。

菓子パンだけでなく、「肉入りコロッケバーガー」「ヒレカツバーガー」など各種バーガー類も100円だ

 生鮮食品に話を戻すと、青果部門では、トマトやきゅうりといった購買頻度の高い野菜は低価格で販売する一方、果物では「静岡産マスクメロン」(3980円)など、高質な商品をあちこちで挟み込む。精肉では、ブランド牛や近江牛も扱い、国産牛のステーキでは、京都でも大人気の「ロピア」を参考にした商品化にもチャレンジしている。

 総菜は店内加工した米飯類やフライものなど幅広い商品を旧店よりも大幅に拡充。さらに日配部門でも、大型の冷蔵平台に「福井産 へしこ」や「ドイツ産 キャビア」など、競合には並ばない珍しい商品を豊富に揃えている。

果物では「静岡産マスクメロン」(税抜き3980円)など、高質な商品も並ぶ
独自性を追求しながらも競合店も研究。牛肉では、「ロピア」を参考にしたというユニークな商品化にもチャレンジしている

 ここまで紹介したMDに加え、同社は既存店の戦略的なテコ入れにより、成長の基盤を強化している。既存店の改装は、設備的な老朽化だけでなく、「売上が頭打ちになってきた時」(堀井徳人社長)に業績の活性化を目的に実施している。年間1〜2店舗を改装、日商が30%以上も伸長した事例もある。今回の木幡店の移転・新築に加え、現在進行中の向日町店の大規模耐震工事も、この既存店強化戦略の一環だ。

 2025年5月期で24期連続の増収を達成したコスモコーポレーション。現在、耐震工事のため向日町店を一時閉店しており、当初は今期の減収を見込んでいた。しかし木幡店の成功により増収も期待できる状況にある。「小商圏高占有率戦略」をベースとしつつ、広域集客への戦略的拡張、そして既存店の活性化を進める同社の快進撃は、今後も続きそうだ。

大型の冷蔵平台に「福井産 へしこ」や「ドイツ産 キャビア」など、競合には並ばない珍しい商品を豊富に揃える

【店舗概要】
オープン日 2025年9月26日
所在地   京都府宇治市木幡南山畑40
店長    島村宜彦
営業時間  9:30〜21:00
売場面積  食品スーパー売場243坪、直営ベーカリーショップ20坪(イートインスペース含む)
駐車台数  96台

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