上期絶好調のバローHD 関東進出直前、小池社長が明かした「攻め手」

次のターゲットは「SMで売上1兆円」

 まさに絶好調の結果となったバローHDの上期決算。ただし、通期の業績予想は、営業収益が9020億円(対前期比5.6%増)、営業利益が252億円(同8.7%増)、経常利益が280億円(同7.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が140億円(同2.5%増)と期初発表から据え置いた。

 その理由について、バローHDの小池孝幸社長は、「バローHDは言ったことを実現できる、そういうところを見せていきたいという考えから。ただし、アクセルはまったく緩めていない。10月、11月も(上期の勢いを)そのまま振り抜いているような状況だ。下期、通期についても、期待していただいて十分結構だと思っている」と述べる。

 なお、バローHDは愛知・三河エリアで食品スーパー33店舗を展開するドミーを10月21日付けで連結子会社化している。ドミーの2025年5月期の売上高は318億円。業績がバローHDの連結に加わるのは第3四半期以降となる。

上期決算の説明会に臨んだバローHDの小池社長

 下期の目玉となるのは、なんといっても今週金曜、11月21日にオープンする「バロー横浜下永谷店」(神奈川県横浜市)だ。バロー屋号としては関東初となる店舗で、多くの関係者が注目する2025年のスーパー業界における最重要店舗の1つだ。

 「横浜が動き始めると関東のいろいろな潮目が変わってくるだろう。店を見て、『こういう店だったらもっと出店してほしい』といった話も出てくるだろうし、価格や取引などさまざまな動きが変わっていくはずだ」と小池社長は話す。

 前期の通期決算発表時、バローHDは関東でグループ売上高500億円をめざす「関東圏売上高500億円構想」をぶち上げている。今回の決算説明会で小池社長は関東戦略について、「神奈川である程度まとめるかたちでやっていきたい」とコメント。横浜下永谷店からスタートし、物流網などを含めて神奈川県内で先行してドミナントを形成していく考えを明らかにしている。

 出店用地については、「非常に柔軟に考えている」(小池社長)とし、「物件は相当集まっていきている」とも明かした。バローHDでは、売場面積約70坪で1坪当たり売上高約1400万円を稼ぐ「八百鮮」から、約1000坪を誇るバロー屈指の繁盛店「スーパーマーケットバロー高辻店」(愛知県名古屋市)のような大型店まで、すでにさまざまなサイズの店舗で成功実績を持つ。こうした多彩なフォーマットにより、「二流、三流といわれるような物件でも“料理できる”というところをしっかりと見せたい」と小池社長は力を込める。

 通期の予想売上高9020億円とグループ売上1兆円が射程圏内に入ったバローHD。小池社長は「食品スーパーで1兆円、これを次のターゲットとして動いていく」と話す。前通期のスーパーマーケット事業の営業収益は4833億円。ドミーが連結に加わるとはいえ、現在の倍近くまで売上を積み増す必要がある。「関東500億円」を達成し、壮大な目標に向けてはずみをつけたいところだ。

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