パナソニック×ゴールドウインの異色タッグが変える、「ダウンは家で洗えない」という常識
国内家電市場は成熟期を迎え、特に白物家電は、海外メーカーや異業種との価格競争の激化、市場全体の成長鈍化という厳しい現実に直面している。そうした中、パナソニック(東京都/品田正弘社長)が激戦のドラム式洗濯乾燥機市場に「ダウンジャケットコース」搭載の新製品(LX/SDシリーズ)を投入した。アパレルメーカーとの協業で開発した、洗濯の常識を変える新機能は市場の潜在ニーズをどれだけ掘り起こせるのか。
「ダウンは洗えない」を覆すための異業種タッグ
「洗濯機では洗えない」。ダウンジャケットはそうしたイメージから、洗濯頻度が少なく、洗うにしてもクリーニングに出す人が多い。逆にいえば、自宅で洗える洗濯機があれば、購入を促す要素となり得るーー。
開発の端緒は、そうした仮説だった。ただ、そのためにどんな技術が必要なのかという知見は乏しかった。そこで、同社が協業先として白羽の矢を立てたのがゴールドウイン(富山県/渡辺貴生社長)だった。
パナソニックの商品マーケティングセンター ランドリーマーケティング部 商品マーケティング課 課長の渡部一訓氏は、「(ゴールドウインとの協業で)最も有益だったのは、『ダウンジャケットの中わたは通常汚れていない』で『むしろ洗う際に濡れた状態で力がかかることで絡まり、片寄りが起こる』という発見につながったこと」と話す。

従来の洗濯で失敗(中わたがダマになる、保温性が低下する)が多かったのは、まさにこの偏りによるもの。そうならないよう逆算し、洗浄力と偏り抑制というトレードオフを両立させるための独自のフローを構築することで、家電メーカー単体の発想では難しかった課題を攻略した。
開発に費やした期間は4年。同社に蓄積された技術とゴールドウインが持つダウンジャケットの構造に関する実践知が融合することで、洗濯機の常識を変える機能は誕生した。