平均日販69万円! 沖縄ファミリーマート、強さの源泉は「地域密着」

沖縄限定商品を各カテゴリーで拡充

 こうしたブランディング戦略と並行して、沖縄ファミリーマートが注力してきたのが、沖縄の店舗でしか購入できない独自商品の開発だ。とくに中食には最も力を入れているといい、取締役経営戦略本部長の岸本国也氏は「中食の売上高の51~52%は沖縄ファミリーマートで開発した商品が占める」と話す。

 たとえば、沖縄の郷土料理「沖縄そば」や、玉子焼きと炙り焼きポークを使った「ポーク玉子おむすび」は看板商品として根付いている。

 また、沖縄の名店と商品の共同開発にも取り組んでおり、細かく削った氷と金時豆、白玉がトッピングされた「沖縄ぜんざい」は「ぜんざいの富士家」(那覇市)と開発した。そのほか、沖縄の特産物である黒糖を使ったパンやパフェを開発し、期間限定のフェアも開催している。

富士家ぜんざい
沖縄ファミリマート限定の「富士家ぜんざい」

 情報発信にも抜かりがない。商品開発の裏側はTikTokなどのSNSで紹介している。

 日用品の開発も強化しており、ファミリーマートの軽衣料プライベートブランド(PB)シリーズ「コンビニエンスウェア」では、男子プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」に所属する「琉球ゴールデンキングス」とコラボレーションしたタオルハンカチや靴下、帽子を数量限定で発売した。

 また、オーストラリアの人気アーティスト「MULGA(モルガ)」と共同開発したTシャツやエコバッグも沖縄限定で展開している。

 岸本氏は「商品開発において、常に新しいチャレンジを続けていきたい」と話す。

沖縄郷土料理のレンジアップ商品
沖縄郷土料理のレンジアップ商品。パウチタイプで、土産物としても購入されている

ジャングリア開業で売上増へ期待

 徹底したローカライゼーションで地元を中心に高い支持を得ている沖縄ファミリーマート。今後の新たなマーケットとして注目するのがインバウンドだ。糸数社長は「現在沖縄を訪れる年間700万人強の観光客のうち、300万人はインバウンドだ。市場はますます拡大していくだろう」との見通しを示す。

 そこで大きな期待がかかるのが、7月25日に県北部の今な帰き仁じん村でオープンした大型テーマパーク「ジャングリア」だ。沖縄ファミリーマートはすでに北部エリアの店舗開発を強化中で、今後は那覇市内などからジャングリアへ向かうルート沿いも出店候補地として検討する。

 また、商品政策についても、国内観光客向けの商品とすみ分けを図り、「インバウンドが手に取ってくれそうな商品を開発して並べる」(糸数社長)としている。

 さらに、ジャングリアと連携した施策も行っており、C V Sで唯一、全国のファミリーマートでジャングリアのチケットが購入できる。開業前の4月から販売しているが、売れ行きは好調だという。

 糸数社長は「ジャングリアのオープンをきっかけにインバウンドのさらなる増加が予測され、(沖縄のマーケットとしての)伸びしろはまだまだある。国内観光客、地元客、インバウンドそれぞれにどのように対応していくかさらに考えていきたい」と意気込みを語った。

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