従業員が商品をトコトン好きになると、店の売上が上がる!?その納得の理由

Nikola Stojadinovic/istock
Nikola Stojadinovic/istock

 「なぜ、そんなに持っているのか」と聞くと、靴、特にスニーカーが好きすぎて、集めているからなんですね。ナイキには「ダンク」というスニーカーがあるのですが、これだけで100足も持っているスタッフもいました。

 彼らは、実にたくさんの靴を売っていました。好きだから売れるんですね。なぜかと言えば、お客さまに臨場感を持って、どれだけ自分はこのブランドやこの靴のことを愛しているかを語れるからなんですね。別にナイキの回し者でもないABCマートの1スタッフが、「ナイキのこの靴はこういうところが最高なんですよ」と熱量高く語りかけて、お客さまも「そうっすよね」と話をしていくうちにその熱に浮かされて、いつしか買わないという選択肢がなくなるぐらい欲しくなる。だから、この熱量の高さは極めて重要なんです。

自分の強みを発揮できる場所で勝負する

 そして好きであるがゆえ、商品知識がズバ抜けて高いわけです。どこを突かれても100%即答することができます。つまり、「得意な領域で勝負する」ということも大事なわけです。

 僕の場合は、商品を分かりやすく説明する、ということを強みとしていました。

 パソコンの知識だけで言えば、玄人の人には太刀打ちできません。でも、知識を身につけるとパソコンが好きになるので、勉強することがすごく好きになってきます。そこで、「じゃあ自分の強みはどこにあるんだ、どこを伸ばすべきか?」を考えるわけです。僕は、マニアックな用語をわかりやすい言葉に置き換えていく、ということに強みを持っていると考えました。そこで、まずは、自分の扱っている商品に誇りを持つこと、そして自分の強みにしたがって、自分がいちばん強みを発揮できるところで勝負していくことを徹底しました。

 その結果、僕は7ヶ月で1億円売ることができました。「商品知識をつける」→「好きになる」→「強みを設定する」→「強みを発揮できる場所で戦う」→「さらに商品知識をつけていく」という正のスパイラルを回すことが重要です。

 ここで、ABCマート時代に話を再び戻します。スタッフはみんなスニーカーが大好きでした。スニーカーって大好きな人が多い一方、競争が厳しいですよね。一方、僕はなんでもよかったので、PCデポ時代と同様、特化する領域をひとつ決めました。それがビジネスシューズでした。単価も高いからです。

ビジネスシューズを極めるために、商品を自腹で“裁断”

 ビジネスシューズに特化したことで、結果的にその道では誰にも負けないぐらいの知識を身につけました。

 ビジネスシューズの知識を高め、商品を好きになる上でやったことは、実はPCデポでやったパソコンの組み立てと同じです。え?っと思うかもしれませんが、靴を自分で組み上げたんです。

 どういうことかというと、靴を作って下さったメーカーさんには申し訳がないのですが、既製品の靴を ABC マートで買って、 専門の業者さんにお願いして、靴を半分に切ってもらったんです。そして、製法や構造を細かくチェックしました。紐も全部ほどいて、それを組み上げていきました。これによってビジネスシューズの特性や構造がわかりますから、自信を持って提案できるようになったのです。

 このように、自分で一から作るというのは商品知識を高め、他社にない強みを知るきっかけにもなり、商品を好きになる上で役立つのでおすすめです。読者のみなさんが従事されているのは、販売から営業、コンサルティングまでさまざまだと思いますが、自社の商品やサービスを一から作り直してみると、いろんな発見があるのでぜひやってください。この経験が、この後行う、「売り込まないセールス」をする上で、重要な1つのピースになります。

この「商品愛」をさらに体系的な販売力向上に転換するにはどうすればよいでしょうか?詳細は、書籍『売り込まない最高のセールス』を熟読ください。また、文章だけでなく動画でもノウハウを大公開!!成田直人さんが解説する特別動画『【30分でマスター】相手から「売ってほしい」といわれる店づくりの方法 ~売れる店はここが違う!顧客分析のやり方、成功する接客~』。DCSオンライン+有料会員限定コンテンツですので、ぜひ登録してご視聴ください!

成田直人 動画
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