国内コンビニを1000店舗増加へ セブン&アイが新たな経営戦略を発表 

セブン&アイ・ホールディングス(東京都/スティーブン・デイカス社長:以下、セブン&アイ)は8月6日、新たな経営戦略を発表した。2031年2月期までに、国内コンビニエンスストア事業で約1000店舗を純増させるほか、デリバリーサービス「7NOW(セブンナウ)」を強化する。懸念事項となっていた、カナダのコンビニ大手による買収提案は25年7月に撤回されており、自社単独で成長をめざす経営路線を打ち出した。

フレッシュフード強化で差別化図る

セブン&アイホールディングスの経営戦略について説明するスティーブン・デイカス社長=8月6日、東京都内

 「われわれは歴史上のターニングポイントに立っている今こそ、変革が極めて重要だ。9月をもって、われわれはセブン&アイの歴史上、初めてコンビニエンスストアに特化した事業体になる」。6日、東京都内で開いた記者会見で、デイカス社長は力を込めた。

 デイカス社長は「過去とは大きく異なる経営になる」と語り、国内事業を手がけるセブンイレブン・ジャパン(東京都/阿久津知洋社長)と北米コンビニ事業を担う7-Eleven、日本、北米以外の海外事業を担う7-Eleven International LLCの今後の事業戦略について説明した。

 まず取り組むのが、セブン&アイが強みとしてきたフレッシュフードの強化だ。同社の食品は、国内外で差別化商品として支持されてきた。しかし、近年は競合他社も食品を進化させていることから「差別化が弱まっている」(デイカス社長)として、より差別化を進めるための投資を実行する方針を示した。

 具体的には、国内では既存店5000店舗以上に対し、312月期までに設備投資を実施。現在一部の店舗で提供している、店内で焼き上げた「セブンカフェ ベーカリー」や、専用マシンで淹れた「セブンカフェ ティー」の全国導入をめざす。アメリカでは、店舗へのレストラン併設数を312月期までに1100店舗増やす。

 店舗ネットワークを強化するため、新規出店も加速させる。国内では、312月期までに店舗数を現状から1.4倍となる約1000店舗に純増させる。アメリカでも、新規形態や平均日販が高い店舗を約1300店増やす方針だ。

セブン-イレブン・ジャパンの店舗

 とくに期待を寄せるのがデリバリーサービスの「7NOW」だ。同事業は現在も順調に推移しているが、よりサービスを強化し、312月期までに国内で売上を10倍超の約1200億円に伸長させる。米国では、展開地域やサービスの範囲を拡大し、対応店舗数も年間で200店舗拡大する。これにより、北米では人口カバー率50%超を達成する見通しだ。デイカス社長は「次世代のコンビニを再定義する可能性を秘めており、真の差別化につながると非常に期待している」と話す。

 国内コンビニエンスストア事業については、顧客エンゲージメントを強化する。デイカス社長はセブンイレブン・ジャパンは「若いお客さまを中心にブランドイメージが低下している」と指摘。お客とのコミュニケーションを活性化するため専属チームを結成し、施策に取り組みながら認知度、好感度の向上を図る。

 これらの施策を実行し、312月期のコンビニエンスストア事業における営業収益は、252月期の10兆円から1兆円以上増やした約113000億円とする目標を示した。

 

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