京都ローカル「生鮮激安市場!」にみた、「小商圏高占有率戦略」の勝ちパターン

コスモコーポレーション(京都府/堀井徳人社長)が2025年9月26日に既存店を移転・新築オープンした「新鮮激安市場!木幡(こはた)店」。売場面積243坪とコンパクトながら年商目標は16億円も視野に入る勢いだ 。前編では新店舗の概要と商品政策(MD)を紹介したが、後編では、その集客の要である徹底した生鮮の強化と、企業成長を支える既存店戦略の独自性を深掘りしたい。

コスモコーポレーションの前身は鮮魚店。現在も鮮魚部門を集客の核としている

鮮度を視覚的に伝える演出

 好調なスタートを切った新生・木幡店。背景には、単なる店舗の大型化に留まらない、コスモコーポレーションの緻密な戦略がある。本稿では、強みである生鮮食品強化の取り組みと、さらなる成長をめざす独自の既存店戦略を解説する。

 コスモコーポレーションが展開するのは生鮮強化型食品スーパーで、半径500m圏を基本商圏に設定、この範囲のシェアを上げる「小商圏高占有率戦略」を基本とする。MDでは「独自性」を重視しているのが特徴だ。この施策が各店で強い支持を獲得しており、1坪当たり売上高が1000万円前後の店舗も複数あるという。

 同社の看板部門は鮮魚である。前編でも述べたとおり、コスモコーポレーションの前身は鮮魚店で、同部門を集客の核としている。木幡店における鮮魚部門の売上高構成比は約18%と一般的な食品スーパーと比較すると高い水準にある。

 鮮度の高い丸魚、切り身といった素材に加え、人気があるのは生ネタを使った寿司。一般的な盛り合わせだけでなく、大トロ、いくら、うにが乗った「本マグロ極旨3種盛り」(税抜1500円)、甘エビが具材の「特選甘エビちらし」(同1380円)など、競合店には並ばない商品が見られる。

大トロ、いくら、うにが乗った「本マグロ極旨3種盛り」(税抜1500円)、甘エビが具材の「特選甘エビちらし」(同1380円)など、競合店には並ばない商品も多い

 これら独自の品揃えだけでなく、木幡店では来店客に鮮度を視覚的にも訴求する演出にも力を入れる。主通路沿いにある大型の冷蔵平台の側面には「朝獲れそのまま!輝きが鮮度の証」と記したポスターを一面に貼るほか、売場上部に鮮度をアピールするメッセージを掲げている。

 これら生鮮強化型MDは、基本の500m商圏でのシェアを確保しながら、より広域の2km圏からの集客にもつなげる要素となっている。また、旧店の6倍の収容台数に拡大した駐車場、100円ショップ「ワッツ」の導入なども、広域からの集客を意識したものだ。

ページ: 1 2

Previous Post Next Post