東武サウスヒルズの精肉部門ブランド豚「麦小町」で差別化
北海道東部、釧路原野に位置する「東武サウスヒルズ中標津店」(以下、中標津店)。高品質、健康などをテーマとする独自の品揃えで強い支持を獲得している店舗だ。近年、商圏では競争が激化する中、生鮮食品の差別化商材としてブランド豚を導入した。生肉だけでなく、半調理品や総菜といった形態でも展開する工夫で、着実にファンをつかんでいる。
地域に根ざした独自のこだわり
広大な牧草地が広がる中標津町は、酪農が盛んな土地柄で知られる。全国的に人口減少が進むが、同町は今も人口が増加する数少ない注目エリアだ。充実した子育て環境や豊かな自然も魅力で、子育て世代の流入も目立つ。

この地で、生活の核となっているのが、2005年の開業以来、強い支持を得る中標津店。特徴は、圧倒的な規模だ。店舗面積は6000坪、ワンフロアの広々とした店内に、生鮮食品のほか、日用品、衣料品まで幅広い商品が揃う。
週末には、地元の中標津町のほか、近隣の釧路市や根室市、また別海町からも多くの来店客がある。
同店が掲げるのは「LIVE HEALTHY LIVE LONGER AND LIVE HAPPY(いつまでも心身ともに健康で、幸せな人生を送りましょう)」というコンセプト。無添加やオーガニックはじめ、品質にこだわった商品を積極的に販売している。
生鮮食品のうち精肉部門も同様の方針で、価値を訴求できる商品を強化。このうち売上高構成比で36〜38%を占める豚肉に力を入れる。今年2月からは新たに日本ハムの「麦小町」を導入、売場での展開を始めた。旨味と風味豊かな味わいが特徴のブランド豚だ。

以来、売上高は好調に推移し、実績は毎月、前月比30〜40%増のペースで伸長。商圏では価格訴求型の食品スーパーのアークス、ドラッグストアのほか、生協など有力店との競争が年々激化しつつある。この中で、味と品質を重視する独自性を打ち出す商材として成果を上げている。
POPを添え価値を訴求
中標津店では日本ハムの「麦小町」をどのように販売しているのだろうか。
壁面の冷蔵什器では「もも切り落とし」「ロース生姜焼き・豚丼用」「挽肉」など多様な形態、量目を展開、来店客が選択できる売場をつくっていた。どの商品にもイメージキャラクター「麦小町ちゃん」のイラストをあしらったシールを貼り、目立たせている。さらに「豚肉特有の臭みが抑えられ、あっさりとした風味」と記したPOPを添え、特徴を伝えていた。

加えて、店頭でのライブ販売にも力を入れる。朝や夕方の集客時間帯に試食サービスを実施、商品の魅力を来店客に直接伝えている。
一方、特筆すべきは、「麦小町」の加工度を上げた商品にも力を入れている点だ。取材時、「フライパンカツレツ マイルドカレー風味」「豚プルコギ」など、加熱調理すれば料理が完成する半調理品を充実させていた。
デリカ部門でも、「麦小町」を使用した「東武オリジナル豚丼」「豚キムチ丼」はじめ、すぐに食べられる商品を販売。いずれも来店客から好評で、よく売れている。

室井 勝則店長
室井勝則店長は、「現代人は忙しく、家庭での調理時間が短くなっている。だからこそ、半調理品や総菜を充実させ、まず麦小町の味を知ってもらいやすい商品形態を工夫している」と教えてくれた。
販売好調を受け、力を入れるネットスーパー「たすかーる」でも取り扱いを開始する。スマホで24時間注文を受け、自宅に届けるサービスで、「麦小町」は新たな顧客層を獲得し、さらなる販売増につながると見られる。
競争が激しさを増す中、同店の理念と合致する「麦小町」は、今後も独自性を訴求する看板商材としての認知が定着するはずだ。
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