ユニクロ支援の「The Displacement Film Fund(難民映画基金)」、第2弾短編作品助成監督をカンヌ国際映画祭で発表 第1弾助成の短編5作品、2026年東京国際映画祭で日本初上映へ

2026年5月18日、ユニクロが支援する「The Displacement Film Fund(難民映画基金)」の共同創設者・代表であるケイト・ブランシェットが、カンヌ国際映画祭にて、第2弾短編映画制作助成の対象者として、モハメド・アメル、アンマリー・ジャシル、アクオル・デ・マビオル、バオ・グエン、リティ・パンの5名を発表しました。この5人の監督の中には、昨年の東京国際映画祭(TIFF)で『パレスチナ36』で東京グランプリを受賞したアンマリー・ジャシル監督や、同じく昨年のTIFFで『私たちは森の果実』が審査委員特別賞を受賞したリティ・パン監督などが名を連ねています。あわせて、第1弾助成作品の短編5作品が、2026年10月開催のTIFFで日本初上映されることも発表しました。
2026年10月開催のTIFFで日本初上映される第1弾助成作品は、ハサン・カッタン監督『Allies in Exile』、マリナ・エル・ゴルバチ監督『Rotation』、モハマド・ラスロフ監督『Sense of Water』、シャフルバヌ・サダト監督『Super Afghan Gym』、モ・ハラウェ監督『Whispers of a Burning Scent』の5作品です。これらの作品は2026年のロッテルダム国際映画祭(IFFR)でワールドプレミアを迎え、会場が満席になるなど大きな反響を呼びました。さらに、英国『The Guardian』紙による五つ星評価をはじめ、国際的に高い評価を得ています。
カンヌ国際映画祭で行われた記者発表会には、ケイト・ブランシェットに加え、新たに支援を受ける映画監督のモハメド・アメル、アンマリー・ジャシル、アクオル・デ・マビオル、バオ・グエンが登壇しました。進行はIFFRのマネージングディレクター、クレア・スチュワートが務め、基金の第2弾の展開、助成対象となった映画制作者とそのプロジェクト、そして移動を余儀なくされた映画制作者を支援するための業界全体の取り組みについて議論が交わされました。
難民映画基金は、2025年の第54回IFFRにおいて、ケイト・ブランシェットとIFFRのヒューバート・バルス基金により共同で創設が発表されました。本基金は、避難を余儀なくされた映画制作者、または避難民としての経験を描いた実績のある映画制作者の活動を支援・助成することを目的としています。ユニクロは創設パートナーとして、毎年10万ユーロの寄付を行い、活動を支援しています。
■IFFRマネージングディレクターのクレア・スチュワートと、ヒューバート・バルス基金責任者のタマラ・タティシュヴィリのコメント
「第1弾の仲間とともに歩み始めた注目すべき道のり、そしてロッテルダム国際映画祭 2026での世界初上映の成功を経て、難民映画基金とともにカンヌへ戻って来ることができて光栄です。第2弾の映画制作者は、各自がそれぞれの避難・強制移動の経験を抱えながらも、卓越した幅広い映画的才能を改めて体現しています。私たちは、彼らの重要な物語をスポットライトの下に届けるお手伝いができることを誇りに思います。世界的な不確実性が続く今、この基金を維持するという私たちの使命は一層深まっており、映画が共感と前向きな変化を促す強い力になり得るという信念もより強まっています。」
■東京国際映画祭 プログラミングディレクター 市山尚三のコメント
難民映画基金の支援を受けた5本の作品を東京国際映画祭で上映できることを非常にうれしく思います。このプロジェクトは、現在の不安定な政治状況の中、極めて重要な問題を提起するものです。そして、才能ある監督たちによって生み出された5本の作品は、さまざまな意味で映画的な冒険にあふれ、驚きに満ちています。この多様な作品たちが日本の観客にどのように受け入れられるか、今から楽しみです。
■株式会社ファーストリテイリング 取締役 グループ上席執行役員 柳井康治のコメント
ユニクロは20年以上、難民支援に取り組んできました。お客様をはじめ多くの皆さまに支えていただき、支援の輪が広がっていることに深く感謝しています。一方で、難民問題に関する関心や理解は、特に日本国内ではまだ十分に届いていません。私は、映画には人々の意識を動かす力があると信じています。第1弾で支援した監督たちによる作品は、フィクションからドキュメンタリーまでの幅広さと、監督自身のパーソナルな体験が色濃く反映されていて、深い感動と共感、説得力の強さが特徴だと思っています。これらの作品を評価いただき、日本での上映機会を創出してくださった東京国際映画祭に、深く感謝いたします。また、第2弾に選出された5名の監督たちから、次はどのような物語が生まれてくるのか、大きな期待を寄せています。
株式会社ユニクロは、難民映画基金への継続的な支援を通じて、「Made for All」の理念のもと、より多くの人々に難民の物語を伝え、世界の難民問題への理解と関心を深めていきます。
■難民映画基金 第2弾短編作品助成者のプロフィール・プロジェクト
モハメド・アメル (Mohammed Amer)
「モー・アマー」としても知られるパレスチナ系アメリカ人のモハメド・アメルは、コメディアン、脚本家、演出家として受賞歴を持っています。シーズン1、2ともに高い評価を得たネットフリックスの半自伝的ドラマシリーズ『Mo/モー』では主演も務めています。同作品は、レビュー集積サイト「ロッテントマト(Rotten Tomatoes)」で批評家から100%の支持を得て「新鮮」認定され、ニューヨーク・タイムズ紙、ニューヨーク・マガジン誌、タイム誌によって、2022年と2025年の優れたテレビ番組に選出されています。『Mo/モー』シリーズにより、アメルはゴッサム賞、2023年度ピーボディ賞、2025年度ピーボディ賞ノミネート、AFI(米映画協会)賞など、数々の評価を獲得しています。
『Return to Sender』(仮題) (パレスチナ/アメリカ)
難民旅行証明書が発給されたパレスチナ出身のスタンダップコメディアンが念願のワールドツアーに乗り出します。ところが、国から国へと移動するたびに入国審査のハードルは理不尽さの度合いを増すばかり。果たして彼は精神力と覚悟で乗り越えられるのでしょうか。
アンマリー・ジャシル (Annemarie Jacir)
パレスチナ出身の映画制作者、脚本家、そしてプロデューサーでもあるアンマリー・ジャシルの作品群は、これまでベルリン、ヴェネチア、カンヌ、ロカルノ、トロントの映画祭でプレミア上映されてきました。また、彼女が手がけた4本の長編映画はすべてパレスチナのアカデミー賞エントリー作品に選ばれています。彼女に名声をもたらした2008年の『この海の塩(原題:Salt of this Sea)』はパレスチナの女性監督によって制作された初の映画であり、彼女にとってはカンヌでプレミア上映された2本目の作品となりました。アンマリーは現地での後進育成や研修、人材登用に献身的に取り組んでおり、パレスチナのインディペンデント映画の振興に力を注いでいます。最新作にして最も野心的なプロジェクトである『パレスチナ36(原題:Palestine 36)』はアカデミー賞の最終候補となり、東京国際映画祭のグランプリを含む複数の国際的な賞を受賞しました。アンマリーはパレスチナを拠点に活動しています。
『Deconstruction』(仮題)(パレスチナ)
映画の舞台となるハイファは、存在と不在、記憶と刷新が幾重にも重なり合う都市です。『Deconstruction』は、過去が暴かれ、再構成され、売り払われ、生まれ変わっていくなか、その狭間を生きる男の姿を描きます。
アクオル・デ・マビオル (Akuol de Mabior)
アクオル・デ・マビオルはキューバで生まれ、ケニアで育った南スーダン国籍の映画制作者です。監督としてこれまでに長編を1本、短編を4本制作しています。長編映画監督としてのデビュー作となった2022年作品『南スーダンで生きる ~ある家族の物語~(原題:No Simple Way Home)』はベルリン国際映画祭で初めて上映された南スーダン映画で、その後ミュンヘン国際ドキュメンタリー映画祭 Dok.horizonte賞、またIDAドキュメンタリー賞では最優秀ドキュメンタリー賞および最優秀脚本賞の2部門にノミネートされました。アクオルはアフリカの女性たちの視点が過小評価されていると感じており、アフリカの観客の琴線に触れ、アフリカについての新たな想像力を喚起する映像作品の創造を目指しています。
『Traces of a Broken Line』(仮題)(南アフリカ/南スーダン)
戦争によって断ち切られ、もはや継承することができなくなった系譜を懸命に保とうとする母親の物語。
バオ・グエン (Bao Nguyen)
映画制作者でEAST Filmsの共同創設者でもあるベトナム系アメリカ人のバオ・グエンが作品を通じて探究するのは、記憶、移住、アイデンティティ、そして歴史によって形作られる人々の心のありようです。近年製作した『夢はカタツムリのよう(原題:The Dream Is a Snail)』はベトナムの短編映画として初めてカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選ばれました。監督作品には、サンダンス映画祭でプレミア上映されエミー賞で四部門にノミネートされた『名もなきジャーナリスト(原題:The Stringer)』、カルチャーアイコンであるブルース・リーを題材にした『ビー・ウォーター(原題:Be Water)』、PGA(全米映画製作者組合)賞とクリティクス・チョイス・アワード(放送映画批評家協会賞)を受賞した『ポップスが最高に輝いた夜(原題:The Greatest Night in Pop)』、さらには85か国でトップ10入りしたネットフリックスのドキュメンタリー『BTS: THE RETURN』などがあります。また、プロデューサーとしての仕事には2014年にベルリン国際映画祭のパノラマ部門のオープニング作品となったベトナムのSF映画『2030年の国(原題:Nước 2030)』や、2019年の釜山国際映画祭でニューカレンツ部門最優秀作品賞に輝いた『走れロム(原題:Ròm)』があります。バオ・グエン自身も1979年にベトナムを逃れた両親がアメリカに到着して間もなく生まれた難民の息子です。
『How to Ride a Bike』(仮題)(アメリカ/ベトナム)
ベトナム難民の父親が自分は一度も習わなかった自転車の乗り方を息子に教えようとしますが、うまくいきません。そして息子に内緒で自転車に乗る練習を始めた彼は、少年時代から抱えてきた恥の感情と向き合うことになります。
リティ・パン (Rithy Panh)
リティ・パンは世界的に評価されているカンボジアの映画制作者、脚本家、プロデューサーです。クメール・ルージュ時代の記憶、トラウマ、そしてその負の遺産を探求する彼の作品は現代映画界に多大な影響を与えてきました。これまでに『田んぼの民(原題:The Rice People)』、『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち(原題:S21: The Khmer Rouge Killing Machine)』、『消えた画 クメール・ルージュの真実(原題:The Missing Picture)』、『エグジール(原題:Exile)』 、『名前のない墓(原題:Graves Without a Name)』、『すべては大丈夫(原題:Everything Will Be OK)』 など数々の作品がカンヌ、ヴェネチア、ベルリンの映画祭でプレミア上映され、主要な賞に輝いています。『消えた画』はカンヌ国際映画祭の「ある視点」賞を獲得し、アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされました。パンは製作にとどまらず、新進の映画制作者の支援やカンボジアの視聴覚遺産の保存に情熱を注いでいます。彼がプノンペンに設立したボパナセンターでは映画フィルムの収蔵、教育、そして次世代のカンボジア人作家たちの創作を支える研修を専門に行っています。
『Time… Speak』(仮題)(フランス/ドイツ)
粉々に砕けた置物、さまざまな史料、そして数々の沈黙――亡命中の映画制作者が記憶の断片を拾い集めて再構築した映像世界では、消え去ったものたちが今でも語りかけてくるのでした。
2026年度の難民映画基金の映画制作者は、初年度に策定された二段階のプロセスに基づいて選出された。まず指名委員会が候補者のロングリストを作成し、次に選考委員会が最終的に選定しました。第2弾の指名委員会には、ジャーナリスト・ドキュメンタリー制作者のワアド・アル=カティーブ (『We Dare to Dream』『For Sama』)、映画監督・脚本家のアグニェシュカ・ホランド(『Green Border』)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)サポーターのキー・ホイ・クァン、ヒューバート・バルス基金責任者のタマラ・タティシュヴィリ、IFFRマネージングディレクターのクレア・スチュワート、そして難民映画基金パートナーが参加しました。選考委員会はケイト・ブランシェットが委員長を務め、IFFRフェスティバル・ディレクターのヴァンヤ・カルジェルチッチ、映画・舞台プロデューサーのバーバラ・ブロッコリ(『ジェームズ・ボンド』シリーズ)、教育者・活動家で難民でもあるアイシャ・クラム、そして難民映画基金 第1弾の映画制作者モ・ハラウェで構成されました。
■難民映画基金 第1弾助成による短編5作品

『Allies in Exile』(40分/イギリス、シリア) 監督:ハサン・カッタン
14年間にわたり戦争と制作の日々を歩んだシリア出身の作家たちが、イギリスの亡命希望者施設での日常を記録。撮影という行為が生き延びるための手段へと変わる過程を映し出します。

『Rotation』(12分/ウクライナ) 監督:マリナ・エル・ゴルバチ
市民生活から兵役へと日常が一変した若いウクライナ女性が、催眠療法の儀式を通じて、現実に対応しようとする姿を描きます。

『Sense of Water』(30分/イラン、ドイツ) 監督:モハマド・ラスロフ
亡命先で異国の言葉と対峙するイラン人作家が、再び書く力を手にするため、記憶と忘却、失われた言語と新たな言語の間を往来する心の旅路。

『Super Afghan Gym』(14分/ドイツ) 監督:シャフルバヌ・サダト
カブール中心部のジムで、女性のみが利用できる限られた時間に集まった主婦たちが、トレーニングに励みながら理想の体型や日常を語り合います。

『Whispers of a Burning Scent』(27分/ソマリア、オーストリア、ドイツ)
監督:モ・ハラウェ
裁判と結婚式での演奏を控えた寡黙な男が、私生活を衆目にさらされ、献身と尊厳、喪失の狭間で揺れ動く内面を静かに見つめます。
■東京国際映画祭(Tokyo International Film Festival)とは
日本で唯一の国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の長編コンペティティブ国際映画祭。1985年、日本初の大規模な映画の祭典として誕生し、「東京から映画の可能性を発信し、多様な世界との交流に貢献する」をミッションとして、世界中から集められた映画を通して、国内外の映画人や映画ファンがさまざまな才能とその感動に出会い、交流する場を提供しています。毎年秋に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催されています。2026年には、世界の映画祭の中でも特に国際的影響力の高い「Aフェスティバル」として認定されました。
■難民映画基金(Displacement Film Fund)とは
「難民映画基金」は、避難を余儀なくされた映画制作者、または避難民としての経験を描いた実績のある映画制作者の活動を支援・助成するために設立されました。2025年の第54回ロッテルダム国際映画祭(IFFR)において、俳優、プロデューサーであり、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)親善大使でもあるケイト・ブランシェット氏により発表され、マスターマインド、ユニクロ、ドローム・エン・ダード、タマーファミリー財団、アマホロ連合が創設パートナーとして名を連ねています。ヒューバート・バルス基金を運営パートナー、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を戦略パートナーとして、短編映画への助成制度を開始しました。初年度に支援を受けて製作された作品は、ハサン・カッタン監督(シリア出身)の『Allies in Exile』、マリナ・エル・ゴルバチ監督(ウクライナ出身)の『Rotation』、モハマド・ラスロフ監督(イラン出身)の『Sense of Water』、シャフルバヌ・サダト監督(アフガニスタン出身)の『Super Afghan Gym』、そしてモ・ハラウェ監督(ソマリア出身)の『Whispers of a Burning Scent』の計5作品です。さらに、第55回ロッテルダム国際映画祭において、第2弾支援の開始が発表されました。新たな主要パートナーとしてアールティ・ロヒア氏およびSPロヒア財団が加わり、パイロットイヤーの成功を受けて同基金への支援を表明しています。
■ファーストリテイリングの難民支援活動のあゆみ