最低賃金、全国平均1121円=66円上げ、目安超え39道府県

厚生労働省は5日、2025年度の地域別最低賃金が全国平均で時給1121円になると発表した。引き上げ額は過去最大の66円で、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)が示した目安額63円を上回った。39道府県が目安を超える改定額となり、最低賃金の引き上げが加速した。
目安は地域の経済力に応じてA~Cのランクごとに示され、東京などのAランクとBランクは63円、Cランクは64円だった。引き上げ額が最も大きかったのはCランクの熊本で、目安を18円上回る82円。大分は81円、秋田は80円だった。隣県や都市部との人材獲得競争を背景に、目安超えが相次いだ。
最低賃金はすべての都道府県で1000円を超えた。最も高い東京(1226円)と最も低い高知、宮崎、沖縄(1023円)との差は203円となり、前年度の212円から縮小。地域間の格差是正が進んだ。
一方、例年なら10月の発効日を遅らせる動きも広がった。秋田が来年3月31日発効とするなど6県が越年する。発効日が年をまたぐのは1982年度以来で、現行の改定方式となった02年度以降では初めて。11月や12月発効も多く、10月中に発効するのは20都道府県にとどまった。
発効を遅らせるのは、事業者の準備期間を確保するほか、年末に問題化しやすいパート従業員の「就労調整」の影響を緩和する狙いがある。ただ、発効が先送りされれば、その分、労働者の収入が増えるタイミングも遅くなる。
政府は「20年代に1500円」の目標を掲げている。引き上げを後押しするため、交付金や補助金による支援強化に取り組む方針だ。