できる店長は知っている!従業員満足と顧客満足の両立で、売上をあげる方法
前回、結果を出す店長になるためには、「自責思考のマインドセット」と理想的なチームを作るための「3S」というコミュニケーション手法をマスターすることが大事だと解説しました。今回は、持続的に自らカイゼンし続ける組織をつくるために店長は何をすべきかについて、店舗コンサルタント、研修講師である成田直人さんが解説します。業態問わず店長および店長をめざす人、店長の業績を上げたいスーパーバイザーの方は必読です!(※本稿は『ダイヤモンド・ホームセンター』2024年10月15日号掲載原稿を大幅加筆、再構成したものです)
お客さまが「購入を躊躇する場面」を特定し
自店の課題を可視化しよう!

目標予算を達成し、売上・利益を常に更新し続けるためには、店長のスキル開発が欠かせません。そのスキルは2つあります。
1つ目は「未達要素を撲滅するスキル」です。
未達要素とは、自店内にいくつもあるお客さまの購入を妨げる要素のことです。これをすべて撲滅することができれば、お客さまは気持ちよく買い物してくれ、「また来店したい」「この店を他の人にもおすすめしたい」気持ちになっていただけます。
そのために大事なことは、お客さまが購入を躊躇する場面を特定すること。すべて特定することができれば、それを元に自店の課題を可視化することができます。
この課題を一つひとつ潰していき、お客さまが入店してから退店するまでの間に、一切のストレスやフリクション(摩擦)がない状態をつくることが店長の役割なのです。
作業を早く完了させることができれば
人時を接客に回すことができる
そのためには、現場のオペレーションレベルを高めることが不可欠です。現場に「ムリ・ムダ・ムラ」がなく安定したクオリティで、優れた顧客体験を提供できるように能力開発していくのです。
本稿で紹介するのは、従業員教育によるオペレーションの徹底です。直接数値責任がある店長と比べて、パートから正社員までの従業員は出勤日数も違えば、勤務年数も、働くモチベーションも異なります。店長ほど目標に強くコミットしているわけではないので、自ら学習しようという意欲のある従業員も少ないのが実情です。
そこで、店内業務を滞りなく徹底するスキルを従業員に身につけてもらうことが必要になります。その際の従業員教育として、店長自身がかつて上司から受けてきた教育をそのまま提供するのではなく、年代別・性別など属性に合わせた教育手法を確立する必要があります。
次に、当たり前のことができるようになったら、オペレーションの効率化を進めます。僕がすべてのクライアントに実施してもらっているのが「時間と範囲」の決定です。
「在庫整理しておいて」とか「入荷検品をやっておいて」ではなく、どこからどこまでを何分以内で終わらせる必要があるのかを明確にして指示を出すのです。そうすることで基準が生まれて時間内に終わらせる工夫を本人がするようになります。そして、時間内で達成できたら、次からはより短い時間で業務を実行するように伝えるのです。
これはコスト削減が目的なのではありません。
1秒でも早くオペレーション業務を終えることができれば、1秒でも長く店頭に立つことができます。つまり、接客チャンスを増やすのが目的です。
売場に余裕が出ればそれだけ接客に時間をかけられて顧客満足度も向上します。その結果、成約率・客単価・リピート率が上がっていくのです。
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