平均日販初の60万円台到達! ローソン好調の背景と下期の”新施策”

ローソン(東京都/竹増貞信社長)は10月15日、2026年2月期第2四半期の連結決算(IFRS)を発表した。中間期としての営業収益、事業利益、純利益、チェーン全店売上高は過去最高を更新、全店平均日販も初めて60万円を突破した。25年で創業50周年を迎え、独自の販促施策の展開や「未来のコンビニ」1号店の出店などチャレンジを続けるローソン。下期もさらに新しい施策に取り組む方針だ。

ローソン外観
好調な業績が続いているローソン

コンビニ、成城石井など好調に推移

  ローソンの262月期第2四半期連結決算は、営業収益が対前年同期比8.7%増の6218億円、事業利益は同11.9%増の613億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同9.8%増の383億円だった。チェーン全店売上高は同5.6%増の15244億円。営業利益、事業利益、四半期利益、チェーン全店売上高すべて4期連続で過去最高を更新した。

 国内コンビニエンスストア事業は、既存店売上高が同5.3%増、客数が同1.5%増、客単価が同3.7%増といずれも前年同期を上回った。全店平均日販は、同3万円増の603000円と大きく伸長し、初の60万円台に到達している。加盟店収益は同10%増で、6期連続で伸長した。国内総店舗数は同46店舗増の14682店舗だった。

 成城石井(神奈川県/後藤勝基社長)も総菜、菓子の販売が好調で、駅ナカ店舗を中心に売上高が伸長した。そのほか、エンターテインメント関連事業、金融関連事業、海外事業はいずれも事業利益が前年同期を上回っている。

2026年2月期第2四半期決算について説明するローソンの竹増貞信社長=2026年10月15日、東京都内

 このうち、国内コンビニエンスストア事業の上期の好業績の要因としては、創業50周年の記念施策として実施した販促施策が既存店売上高や客数の伸長につながった。具体的には、価格据え置きで量や具材を増やす「盛りすぎチャレンジ」や、ポイント還元キャンペーンや新商品のフェアなどを行う「ハッピー・ローソン・プロジェクト(ハピろー!)」、KDDIと連携し同社の有料会員制サービス「Pontaパス」の会員にクーポンを配布するなどの会員限定施策を行っている。また、次世代発注システム「AI.CO(アイコ)」を活用し、品揃えや発注数、値引きのタイミングなどを自動調整して商品を売り切ったことで、ロスの削減にもつながった。

 さらに、256月には「未来のコンビニ」として構想を掲げてきた「Real×Tech LAWSON」の1号店「高輪ゲートウェイシティ店」をオープンした。249月に三菱商事とKDDI50%ずつ出資する共同経営体制に移行した際に発表していた構想が実現したかたちだ。この1号店で実証実験を行い、他の店舗へも横展開する方針としている。

高輪店の外観
高輪ゲートシティ店の外観。KDDI本社が入る複合ビルの6階、オフィス立地だが一般客も利用できる

 竹増貞信社長は15日に開かれた決算説明会で「これだ、というものはなく、本当に一つひとつコツコツ積み上げてきた結果、お客さまからご評価いただけたと考えている。加盟店さまの尽力に新たなテクノロジーがうまく噛み合い、50周年記念の施策もマッチした」と上期を振り返った。

 「災害支援コンビニ」を新たに設置へ

  ローソンが下期に新たに取り組むのが、「災害支援コンビニ」の設置だ。平時は買物拠点としている店舗を、災害時には地域住民の支援拠点とする。まず、千葉県富津市の「ローソン富津湊店」を災害支援コンビニの1号店として新設備を導入し、25年度内に稼働させる予定だ。

 具体的には、避難指示などの情報発信を行うデジタルサイネージの設置、商品配達や災害状況を上空から把握するドローンの配置、社用車の電動車両への入れ替えや災害用トイレの設置などを進める。30年までに全国100店舗の設置をめざす。

 竹増社長は、25年に発生した豪雨などの自然災害で「少なくない数の店舗が浸水した」と明かし、災害支援コンビニの設置により「平時は安全で便利な暮らしを提供し、有事の際は安心安全の拠点になるローソンであり続けていきたい」と述べた。

 下期中はさらに、かねて掲げていた「ハッピー・ローソンタウン」の構想の具体的な内容を示す予定だ。ローソンでは、高度経済成長期に開発され、現在は住民の高齢化や人口減少などで衰退しているニュータウンを、ローソン店舗を中心に幅広い世代が暮らせる「ハッピー・ローソンタウン」にリモデル化する構想を打ち出してきた。「Real ×Tech Lawson」を中心に、災害支援コンビニなどローソン店舗を核とした街づくりを行い、地域の再創生へつなげたい考えだ。

 続々と新たな施策に取り組んでいるローソン。竹増社長は「社会貢献、社会課題の解決、地方再創生にさらにチャレンジしていきたい。ただ、お客さまのご評価がなければチャレンジはできない。お客さまのご評価である日販の最大化にしっかりとこだわりながら、社会課題の解決にも取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

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