飲食業界の1~9月期M&A、2000年以降で最多=M&Aプロパティーズ調査

2025年1~9月期の飲食業界の企業の合併・買収(M&A)件数は84件と前年同期から20%増加した。M&A数は集計を始めた2000年以降で最も多かった。コロナ禍後の景気回復に伴い、買い手である同業他社やファンドの業績が回復したことで潤沢な買収資金を確保できていることが背景にある。
飲食業界のM&Aを仲介するM&Aプロパティーズ(東京)が、全上場企業に義務づけられた適時開示情報などから集計した。1~9月期の飲食業界のM&Aでは、事業の選択と集中で生産性を向上させる「戦略的売却型」が55%を占め、最も多かった。次に多かったのは「事業承継型」で29%だった。経営者の高齢化が進んでいることから、次世代への事業の引き継ぎの方法としてM&Aを選んでいることも多い。
日本では高市早苗内閣が10月21日に発足した。市場関係者の間では積極的な財政拡大などによる景気浮揚を期待する声が多い。飲食業界のM&Aに及ぼす影響についてM&Aプロパティーズの中村幸司社長は「新政権下での景気回復により消費者の外食需要が増加すれば、飲食業界の業績向上につながる。結果としてM&A件数増加にも拍車が掛かるだろう」としている。