ファミマの衣料品PB「コンビニエンスウェア」が築く常識破りのビジネスモデル

ファミリーマート(東京都/細見研介社長)が展開する衣料品のプライベートブランド(PB)「コンビニエンスウェア」は、発売から5年目を迎えた今も、快調な売れ行きを見せている。立ち上げ以来毎年、対前年度比30%増という高い成長率を維持し、24年度の売上は130億円を突破した。9月には、東京都内に同ブランド初のサテライト店舗をオープン。「コンビニで衣料品が売れるわけがない」といった声をはねのけ、新たなビジネスモデルを築きつつある。

「目的買い」を生み出すブランドに

 「コンビニエンスウェア」は20213月に販売を開始した。東京コレクションやパリコレクションでも活躍する「ファセッタズム」のデザイナー、落合宏理氏が監修する。「じぶんを愛そう。いい素材、いい技術、いいデザイン。」をコンセプトに、衣料品や服飾雑貨などのアイテムを展開している。

 コンビニが扱うアイテムは食品が主力で、日用雑貨補完的な位置づけにとどまる。とくに衣料品の存在感は小さく、必要に迫られた際に靴下やシャツを購入する程度の需要しかなかった。

 「緊急時の需要から目的買いへ移行させなければ、コンビニの衣料品市場は広がらない」と考えたファミリーマートは、世界的デザイナーである落合氏と手を組み、商品単体ではなく「ブランド」としての価値向上を志向した。

 当初は靴下やインナー、タオルなど従来から扱っていたアイテムが開発の中心だったが、ファミリーマートのコーポレートカラーである緑と青のラインを入れた靴下や、水玉模様のハンカチなど、デザイン性を高めた商品を投入。これが若者を中心に関心を集め、鮮やかな色合いのカラーソックスやTシャツなどの売上も伸びていった。

 さらに23年にはショートパンツを、24年にはボタンダウンシャツを全国発売するなど、徐々に取り扱いアイテムを拡大。現在は平均的な広さの店舗で約100品目を扱っている。

 

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