新潟日報が編み出した電子版拡販に頼らないデジタルの新たな稼ぎ方の裏側
─御社の事業概要についてお聞かせください。
星野 当社は新聞社を母体とする企業です。広告やコンテンツ以外の収益源を確保する必要性が高まる中、地域経済全体を潤す仕組みを構築することが、地方メディアの役割だと考えています。
新潟日報社では、約16万件の有効な個人IDを保有していますが、地域の事業者も同様に顧客情報を抱えている一方で、その活用方法に悩んでいるケースが多く見られます。こうした情報が単なる囲い込みのコストになっている現状を打破し、地域内で連携・共創することで、データを生かした新たな価値創出をめざすのが本事業の出発点です。
─具体的にどのようなサービスを提供しますか?
星野 事業の核となるのは「NIIGATA Smart」というデータマネジメントプラットフォームです。地域の事業者が持つ会員情報や利用履歴などを連携させ、サービス間の接続によって利用者に便利でお得な体験を提供します。その結果として得られる多様なデータを一元的に管理・分析することで、顧客理解を深め、地域企業のマーケティングや商品開発に活用できるよう支援します。
この事業は、「DXビジネスデザイン事業」「データ活性化事業」「インサイト事業」という3つの事業領域で構成されています。
まず「DXビジネスデザイン事業」は地域企業のDX推進を支援し、デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルの設計を行います。単なるI T導入ではなく、地域課題に即した実践的な変革を伴う支援が特徴です。
次に「データ活性化事業」は事業者が保有する顧客データをよりアクティブにし、会員組織の価値を高めます。生活者の行動、嗜好、健康状態などを深く理解することで、地域に根ざしたマーケティング施策の精度を向上させます。
最後に「インサイト事業」は地域で得られた多様なデータを統合・分析し、NBメーカーや自治体に向けて鮮度と深度のあるインサイトを提供します。これにより、地域発のブランド開発やサービス設計に貢献します。
真正性・鮮度・深度の3点が揃った、データの質の高さが魅力
─この事業に参画することで得られるメリットはどこにあるでしょうか?
星野 前述したように新潟県は人口流出が進んでおり、単一企業の利益だけでは地域全体の活性化は難しく、企業同士が手を取り合う共創の仕組みが必要です。「NIIGATA Smart」に参画することで、各事業者が持つ顧客情報を効率的に統合・分析でき、同一時間軸での多面的な顧客理解が可能になります。
