11~12月商戦でどんな価値を提供するか? コスパやタイパの根底にある「非日常性」

日常から半歩踏み出した「非日常性」

 平日クリスマスは、日常の生活時間に設定されたものです。しかしクリスマスパーティーは、「日常」ではありません。このギャップを埋めるため、前出の2社に限らず、食品小売は手間のかからないハレの日提案に取り組むことでしょう。それは日常に軸足を置きながら、一歩でも半歩でも非日常の領域に踏み出すためのミールソリューションです。

 福袋にも「半歩でも非日常」の趣向があります。東武百貨店の「船橋店」(千葉県船橋市)では、限定50個で米のサブスクリプションを販売します。毎月銘柄米が届くという企画(内容はコース別に差異)で、福袋としてはかなり実需にフォーカスしたものです。ただ、五ツ星お米マイスターがセレクトし、コースによっては6月から沖縄銘柄米の新米が届くという産地リレーがあります。関東在住で沖縄銘柄米を食べる機会はそうありません。こうなると少し非日常的ではないでしょうか。

実需にフォーカスしても夢がある東武百貨店の米サブスクリプション福袋

 日常から半歩踏み出した非日常は、あの猫型ロボットが少年の悩みに対し、ポケットをまさぐって取り出す便利な道具に似ています。その道具によって、日常の舞台が非日常に変わるというわけです。道具(=商品)には夢があって、いくらかの驚きも伴います。11~12月商戦に食品小売が提案するのは、そういった商品であって欲しいと期待します。

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