セリア中間期は過去最高売上! 「純粋な100円ショップ」路線は継続

セリア(岐阜県)が2026年3月期中間期決算を発表した。記録的な円安の影響で、100円売価の維持が一段と困難となるなか、100円均一市場では多価格帯へのシフトが加速している。こうした環境下でも、100円価格を堅持しているのがセリアである。同社の中間期はどのような結果だったのか。

セリア イメージ

売上高は過去最高、各段階利益も増益!

 セリアの26年3月期中間決算は、売上高が対前年同期比4.7%増の1213億円で、営業利益は同9.2%増の83億円、経常利益は同9.6%増の84億円、中間純利益は同11.0%増の56億円となった。中間期としての売上高は過去最高を更新し、各段階利益は増益となった。

 増収の主因は既存店売上高の伸長だ。上期累計の既存店売上高は同2.1%増となっている。

 利益面では人件費が増加したものの、デジタルチラシの活用などにより販促費を抑制。売上高販管費比率は同0.9ポイント減の34.6%と前年から減少した。売上増に伴う売上総利益の増加が販管費の増分を吸収し、営業増益となっている。

 26年上期は、直営店出店が45店、退店が25店となり、総店舗数は前年同期から24店舗増の2092店舗となった。出退店はおおむね計画どおりに推移しており、26年3月期の通期では直営店120店の新規出店を予定している。

 通期業績予想は、上期における直営既存店売上高が期初計画を上回ったことを踏まえ、上方修正した。売上高は2437億円から2455億円(対前期比3.9%増)へ、営業利益は159億円から169億円(同0.4%増)へ、経常利益は160億円から171億円(同0.6%増)へ、当期純利益は106億円から114億円(同1.6%増)へ引き上げた。

100円売価死守で優位性保つ

 原料コストの高騰を背景に競合他社が「脱100円」の動きを強めるなかで、セリアは100円という売価を死守している。決算説明会では、「唯一の純粋な100円ショップ」として、引き続き100円商品に特化する姿勢があらためて示された。

 100円を維持するためのセリアの武器となっているのが、長年にわたって積み重ねてきたデジタル活用とデータ分析による業務効率化である。セリアでは20年以上前からPOSデータの収集と分析を続けており、勘や経験に依存しない精度の高い商品開発を推進してきた。発注支援システムによって店舗の発注業務はほぼ自動化されており、店舗ごとの状況に応じた人員配置やスケジュールも自動で算出する仕組みを導入している。

 原価率の改善にもいっそう注力している。今期はパッケージの簡素化や素材の見直しを強化し、低原価商品の開発を進めた。セリアの河合映治社長は「パッケージや資材を簡素化しても、お客さまの反応に大きな変化は見られていない。現時点で商品価値の低下につながるような兆候はない」と説明。売上原価率は58.5%と、前年同期から0.3ポイント改善している。

 河合社長は「唯一の純粋な100円ショップとして、引き続き100円商品に特化し、顧客層拡大に努める」と述べた一方、「将来的に価格を引き上げなければいけない状況になるかもしれない」との認識も示し、環境変化への警戒感をにじませた。

 インフレや円安といったコスト上昇圧力が継続するなかで、100円という売価を維持することは容易ではない。「純粋な100円ショップ」という独自のポジションを守りながら、価格維持と収益性の両立をどこまで続けられるか。セリアの”持久力”が問われる段階に入っている。

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