カインズ、交換できるくんと資本業務提携を締結 リフォームサービス強化

カインズ(埼玉県)は11月21日、住宅設備機器の単品交換サービスを展開する交換できるくん(東京都)と資本業務提携契約を締結した。実行日は12月15日。
今回、交換できるくんが実施する第三者割当増資を引き受け、協業を開始。これにより、カインズは同社の主要株主の一角に加わり、同率で第4位の株主となる。
カインズは1989年の設立以来、オリジナル商品開発を進める「SPA宣言」(2007年)や、IT技術による購買体験向上を掲げる「IT小売業宣言」(2018年)など、小売業やホームセンターの枠を超えた取り組みを続けてきた。住宅リフォーム事業にも30年以上注力しており、2014年には専門工事に対応する「カインズ365(サンロクゴ)」を設立するなど、体制を強化している。
一方、交換できるくんは、住宅設備の単品交換をオンラインで完結できるDXリフォームサービス「交換できるくん」を展開。2020年の東証グロース上場を経て、2025年3月期には売上100億円を突破した。賃貸住宅向けの設備交換事業に加え、工事付きECサイトのOEM提供を可能にするクラウドプラットフォーム「リプラフォーム」、職人育成の「交換技能アカデミー」など周辺領域への投資も拡大している。
リフォーム需要が高まる一方で、職人の確保や技術継承が課題となる中、両社は「安心して利用できるリフォームサービスの提供」と「職人がスキルを磨きながら長く活躍できる環境づくり」という共通の方向性から今回の提携に至った。
カインズは、プロ特化EC「トラノテ」を運営する大都(大阪府)を年内に完全子会社化するなど(予定)、職人支援の基盤整備を進めており、今回の提携によってその取り組みを一層強化する考えだ。
協業では、交換できるくんのオンライン見積りシステム「リプラフォーム」をカインズへ導入し、現地調査を不要とするなど、顧客・職人双方にとって利便性の高い施工プロセスを構築する。また、対応できる施工メニューや提供エリアを両社で補完し合うことで、サービス領域の拡大を図る。
さらに、交換できるくんが運営する「交換技能アカデミー」にカインズ専用カリキュラムを設け、キッチン・バス・エクステリアなど幅広い工事に対応できる“マルチ職人”の育成を進める。
両社は今後、顧客の利便性向上と職人のスキル向上・働きやすい環境づくりに取り組み、全国規模でリフォーム事業の拡大を目指す。また、コミュニティの共同運営やクロスマーケティングの強化を通じて、職人市場の持続的発展に貢献するとしている。
【株式会社交換できるくん 概要】
会社名:株式会社交換できるくん
代表者:代表取締役社長 栗原 将
創業:1998年11月
所在地:東京都渋谷区東1-26-20 東京建物東渋谷ビル
資本金:4億2,595万4,000円
事業内容:住宅設備リフォームDXサービス「交換できるくん」の開発・運営
従業員数:連結251名(2025年9月末時点)
証券コード:東証グロース 7695