PPIHが「食品強化型ドンキ」を始動!スーパー業界に迫る“第3の黒船”となるか

PPIHの参戦で中京エリアが激戦区化?

 成功のカギを握るのは、生鮮品のセンター供給体制とその品質水準である。PPIHはすでに非食品に関しては豊富な商品力と売場設計ノウハウを有しており、PB開発力も含めて競争優位性は高い。課題は、生鮮のクオリティを維持しつつ、物流効率と利益率を両立させる点にある。幸いにも、ユニー傘下のインフラを活用できる中京圏からの展開となるため、初期段階の検証には地の利があるといえる。

 また、非食品領域の売上高構成比も重要だ。想定モデルでは、年間20億円規模の店舗で非食品5億円の売上が必要となるが、フード&ドラッグの標準的な非食品売上高は2~4億円に留まる。短時間での必需品購入を目的とした来店客に、いかにしてドンキ流の「宝探し消費」を促すかが、採算構造の成否を左右する。このモデルが確立されれば、食品スーパー業界にとっては、従来のフード&ドラッグを凌駕する“黒船”の登場となる可能性がある。

 PPIHがこの新業態の展開地として選んだ中京エリアは、すでにクスリのアオキ、ゲンキー、コスモス薬品などがしのぎを削るフード&ドラッグ激戦区であり、ロピア(神奈川県)など他地域からのディスカウントスーパーも続々と進出している。さらに、バローホールディングス(岐阜県)が展開する「スーパーマーケットバロー」が生鮮強化型のデスティネーションストアへとシフトし、地域密着型の高付加価値売場づくりに注力しているなかで、PPIHが新たな“食品軸のディスカウントストア”を持ち込むインパクトは極めて大きい。

 この数年、関西圏ではオーケーやロピアの出店攻勢が注目されてきたが、今後は中京圏が日本の食品スーパー業態進化の最前線となるかもしれない。

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