ウォルトが新サービス「タイムセール」を実施 そのねらいとは?
フィンランド発のフードデリバリーサービス「Wolt(ウォルト)」を展開するWolt Japan(東京都/ナタリア・ヒザニシヴィリ代表:以下、ウォルト)は11月18日から、東京都内で新サービス「タイムセール」を開始している。同サービスはランチとディナーの時間帯に対象メニューを事前予約することで、一食あたり890円以下、配達料・サービス料は無料となる取り組みだ。物価高が続くなかで、デリバリー利用に対する「値ごろ感」を訴求し、新規顧客の開拓と継続利用をねらう。

時間帯限定の「予約型デリバリー」で価格訴求
新サービス「タイムセール」は、ランチ(11時30分〜14時)とディナー(17時30分〜20時)に限定して実施するもので、アプリ上で対象メニューを選び、30分刻みの配達時間帯を事前に予約する仕組みだ。予約は注文から最短30分後、最長7日先まで指定できる。
対象商品の価格はすべて“890円以下”に統一され、配達料・サービス料は無料となる。日常的な利用のしやすさを訴求するため、商品価格を抑えつつ配達やサービスに係る追加費用を「ゼロ」とした。Wolt Japan広報の龍信太郎氏は、「890円以下という価格帯は、消費者が値ごろ感や納得感を得られるラインとして社内で議論し決めた」と話す。
先行して北海道札幌市と広島県広島市で実施したテスト施策では、注文数やユーザー数が増加したほか、新規利用者だけでなく既存ユーザーの利用頻度も向上し、加盟店の売上拡大につながったという。
ウォルトは2024年にも港区・渋谷区・新宿区で、デリバリー価格を店舗価格に近づける施策を約360店舗で展開しており、今回「タイムセール」はその流れを強化するものだ。
今回の施策によって、注文数が増えれば加盟店の売上向上、配達パートナーの稼働機会増加などメリットが見込まれ、龍氏は「利用者・店舗・配達パートナーの三者にとってプラスとなる取り組みにしたい」と話す。
都内で70店舗超が参加
参加店舗は都内の飲食店70店舗以上にのぼる。「早稲田モンスターズキッチン」(東京都新宿区)では「チキン南蛮定食」を800円(以下税込)、「一食」(同渋谷区)では手づくりおにぎりセットを810円、「インド料理サッカール五反田」(同品川区)ではカレーセットを890円で提供する。

店舗側の期待も大きい。「早稲田モンスターズキッチン」では、テスト運用開始後に注文数が2〜2.5倍に増加し、同店を初めて知ったという利用者も多く、認知拡大にもつながっているという。店長の花田富樹氏は「事前注文制は在庫管理や調理の段取りがしやすく、お客さまにより出来たての状態で届けることができる」と話す。
また、注文増に伴いスタッフの調理機会が増え、アルバイトの習熟度向上にも寄与しているという。そのほか、「ソース多め」「野菜増量」など細かな要望がコメント欄を通じて届くことも多く、「非対面でもお客さまとのつながりを感じられる」と話す。
今回の取り組みは期間限定のキャンペーンではなく正式なサービスとしてスタートしており、今後も継続しながら対応店舗を増やしていく方針だ。