「食品ではなく食事を売る」光洋×マルコメが開いた発酵食品の新しい売り方
企画が点から線に—定番売場に広がる“食事を売る”発想
通常、部門横断型の企画は、社内調整の難しさがつきまとう。この課題を解決したのがマルコメの提案会だ。年2回、新商品や市場動向に合わせた企画提案を試食と共に行い、小売担当者と意見交換をする。光洋としては「同じテーマに沿って同じメニューを上層部、部門責任者、店舗担当者などが一同に試食しつつ、意見を言い合える環境はほかになく、有効活用したい」と20名以上が参加していることが部門横断の壁を突破できている要因だという。
この提案会はマルコメにとっても、全部門の関係者と交流が生まれるなど、部門横断型のフレキシブルな提案が可能となっている。

コーディネーター部 部長 松田 達也氏(前左)
コーディネーター部 玉置 高志氏(前右)
マルコメ㈱ 関西支店 副課長 勝見 吉信氏(後左)
マルコメ㈱ 関西支店 西片 健登氏(後右)
「発酵フェア」で最も注力したのが、チラシ内容と売場との連動性だ。店舗サイズに応じたモデル売場の設計や展開計画書の作成により体系的な売場づくりを進めたほか、アプリによるクーポン配信や、動画コンテンツ「おいしさチャンネル」を活用したレシピ提案など、デジタル施策も積極的に導入した。
実施店舗数は都市型小型店を除く70店舗弱。フェアを通じ発酵食品カテゴリー全体の売上が底上げされ、特に「糀甘酒」「塩糀」カテゴリーが好調に推移し、24年実績は前年同期比158.3%と大幅に伸長した。またフェア終了後も店舗担当者まで「食品ではなく、食事を売る」という意識が浸透し、旬食材との組み合わせ提案が広がるなど、普段の定番売場にも変化が広がったという。
年々進化する「発酵フェア」が「糀フェス」へ
5年目を迎えた「発酵フェア」は年々進化しており、24年には「糀フェス」として新たなスタートを切った。実績も着実に積み上げており、今後の成長が期待される。課題は売場完成度のばらつきや、情報発信の精度向上。展開計画は整ってきたが、実際の売場の完成度に差があることから、モデル売場の画像を事前共有し、店舗ごとのサイズに応じた展開計画を策定することで、統一感のある売場づくりをめざす。

光洋とマルコメの事例は、発酵食品というカテゴリーの可能性を広げるだけでなく、全社員の意識統一による独自文化を根付かせることで、部門横断型の日常的な定番売場の改革を実現する実践モデルとなるだろう。光洋とマルコメでは今後も、消費者との接点を深めながら、糀を軸とした発酵食品の可能性を広げていきたいとしている。
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