海の向こうのセブン-イレブンに学ぶ—SCMと販促改革の最前線

 本プロジェクトを通じて同社は、欠品率の改善、廃棄コストの削減、在庫維持費用の縮小、マニュアル作業の効率化などにより、年間数十億円のビジネスインパクトを見込んでいます。

 日本でも、需要予測や発注の最適化に取り組む企業は増えていますが、一定のルールに基づいた静的な仕組みが中心で、チラシなどの販促や地域周辺のイベントによる需要変動には人力で対応していることも多いのが実情です。

 都心型や郊外型など様々なフォーマットを抱え、ドライから日配まで商品カテゴリが増加していく中で、いかに人の負荷をかけずに「きめ細かく予測精度を維持し」「制約条件の中で合理的な発注を行うか」が競争力の鍵となるでしょう。

 さらに店舗発注の効率化のみならず、物流センターまで含めて、最適な在庫の配置、補充計画を整備することが抜本的な改革に繋がります。日本はサプライチェーンが複雑であるからこそ、デジタル化、仕組み化による改善の可能性も大きいと言えます。

販促の成果は“見える化”できる時代へ──AIが導く選択と集中

セブンイレブン画像

 続いて、プロモーションの領域にAIを活用している企業の事例をご紹介します。

 セブン-イレブンを含む3つの主要ブランドを運営するスウェーデンのレイタン・コンビニエンスは、AIを活用して販促施策の見直しと最適化を進めています。

 従来、セールや値引きなどの販促は各エリアマネージャーや店舗担当者に任され、経験やセンスに基づく判断が中心で、施策効果を正確に見極めることが難しくなっていました。

 そこで同社は、AIを活用した販促計画プラットフォームを導入。Excel管理だった販促計画を一元化し、過去の実績データを体系的に蓄積。ある施策が他の商品に好影響(ハロー効果)を与えたか、売上を奪ったか(カニバリゼーション)など、カテゴリを超えた影響を定量的に分析できる仕組みを構築しました。

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