”ちょっと未来が行き交う場所” 次世代型エキナカ商業施設「エキュート秋葉原」 の新奇性とは

JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニー(東京都/杉村昌生カンパニー長)は、25年4月7日に次世代型エキナカ商業施設と位置付ける「エキュート秋葉原」を開業した。同施設は「エキナカの、ちょっと未来が行き交う場所」(プレスリリースより)をキャッチコピーに掲げており、キャッシュレス化やセルフレジなど、今日スタンダートになりつつあるデジタル技術を随所で活用する、まさに”次世代型”を体現する施設となっている。

エキュート秋葉原の入口
エキュート秋葉原

JR東日本がめざす次世代型エキナカ商業施設の中身とは

 エキュート秋葉原は、JR「秋葉原」駅構内、駅舎の1階部分に開業した。同施設は、東日本旅客鉄道(東京都/喜㔟陽一社長:JR東日本)が掲げる「Beyond Stations構想」に基づいて計画されたものだ。この計画は、駅を交通の拠点としてだけでなく、地域とのつながりを強め新たな価値を創造するプラットフォームに進化させることをめざすもの。秋葉原駅自体がその構想を体現するモデル駅として指定されており、次世代型エキナカ商業施設であるエキュート秋葉原の開業地に選ばれた。

 エキュート秋葉原の最たる特徴は、施設内のオールキャッシュレス化やセルフレジ・集中レジの導入、モバイルオーダーの実装などを行っている点である。これにより、社会的課題となっている人手不足への対応と顧客体験価値向上の両立をめざす。

 同施設を運営するJR 東日本クロスステーションは、前述のオールキャッシュレス化をはじめとしたデジタル化に取り組むにあたり、Suicaの利用データを基に調査を進めたという。このデータは、あらかじめ個人情報を取り除いたうえで、利用者の特性が一定程度わかるもというものだ。

 その調査の結果では、「秋葉原」駅を利用する乗降客の特性は「男性型」のほか、定期の利用ではなくチャージ利用が多い「訪問型」に加え、年齢層は若者が多いことがわかったという。

 さらに、同社では今回、調査ツールとして初めてGPSを採用。秋葉原周辺の人の動きを調査した結果、平日は比較的急いでいる人が多く、休日はゆったりと趣味に勤しむ利用者が多いというデータが得られた。Suicaの情報と組み合わせることで、駅利用者の特性について、データによる裏づけを進めてきたという。

 JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニーでマーケティング戦略部課長を務める蒔苗沙都子氏は「調査を経て、都心部に立地し、かつ若い人が多いことから、完全キャッシュレス化というかたちにも寛容なのではないかと考えた」と振り返る。

JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニーでマーケティング戦略部課長を務める蒔苗沙都子氏
JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニーでマーケティング戦略部課長を務める蒔苗沙都子氏

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