ファミリーマート、「涙目シール」で食品ロス削減を促進 購入率10ポイント向上の店舗も

ファミリーマート(東京都)は、2025年3月より、消費期限が迫ったおむすびや弁当などに貼付する値下げシールを、消費者の感情に訴えかける「涙目シール」に変更し、全国の店舗に順次展開している。
今回、「涙目シール」の効果検証を実施し、実験時と同様に購入率の向上が確認されたことを踏まえ、顧客への感謝の気持ちを表す表情イラストを導入する。

「涙目シール」は、従来の単なる値下げ金額の表示だけでなく、「お客さまの心に響くメッセージ」などを添えることで、顧客とともに食品ロス削減に取り組む姿勢を示している。
4月に都内10店舗で行われた効果検証では、平均で購入率が4ポイント上昇し、中には10ポイント以上伸びた店舗もあった。顧客からは「値下額だけのシールより買いやすい」といった声も寄せられており、行動変容を促す効果があったと分析されている。
今後は、店舗のレジ画面にもキャラクターが登場し、来店客に感謝の気持ちを伝える演出も予定されている。
ファミリーマートは2020年2月、「ファミマecoビジョン2050」を策定。「温室効果ガスの削減」「プラスチック対策」「食品ロス削減」の3つを柱に、環境課題への対応を進めている。これまでにも商品包装の改良によるロングライフ化、発注精度の向上、「てまえどり」の継続実施など、さまざまな施策を展開してきた。
また、2021年7月からは、バーコード付き値下げシールによる販売システム「ファミマのエコ割」を導入し、全国の9割以上の店舗で運用している。
こうした継続的な取り組みにより、2025年度第1四半期の食品ロス削減実績は、2018年比で34.1%と、目標値(33.1%)を上回った。
同社は今後も「ファミマecoビジョン2050」のもと、2030年に50%、2050年には80%の食品ロス削減を目指し、独自の視点と工夫を取り入れながら取り組みを進めていく方針だ。