ブーム終焉も販売好調! ハナマルキが「液体塩こうじ」が拓く新たな市場とは
有名シェフにも国内外でアプローチ
2015年頃から国内外での営業を本格化させた。国内では店頭で客に調理方法を提案販売、その実績を支えにして、スーパー各社に売り込んだ。
業務用製品の売り込みにも本腰を入れた。スーパーに納入している惣菜メーカーや加工品を扱う食品メーカー、あるいは外食チェーンに、「うま味が出る」「肉の臭みを抑えられる」といった液体塩こうじの利点を説明し、使ってもらえるように働きかけた。また社内に「テクニカルサポート室」を新設。同室での試作を基に「この商品には液体塩こうじを使うとこのような味になる」といったメニュー開発を提案し、営業力を強化した。
有名レストランのシェフにもアプローチした。シェフに使用してもらいたいという目的もあったが、液体塩こうじの使い方を学べる効果もあったからだ。ホテルなどのシェフの会合に出席したり、シェフ向け会報誌に企画記事を掲載するなどの取り組みで、シェフの人脈を増やしていった。
並行して海外営業も強化した。2015年8月にタイのバンコクにハナマルキタイランド社を設立し、駐在員を配置した。液体塩こうじと相性の良い鶏肉に注目し、鶏肉加工品の一大生産・輸出拠点となっているタイでの液体塩こうじ使用を円滑に進めるためだった。タイでは2020年から現地工場を設立し、液体塩こうじの生産を始めている。海外拠点はほかに米国や中国にもあり、それぞれ駐在員を配置している。

海外営業では、社内のシェフが営業部員に同行し、実際に液体塩こうじを使って調理した世界各国の料理を法人顧客に持参して、試食・体感してもらっている。海外でも有名シェフにも働きかけた。フランスの3つ星レストラン、ル・サンクのシェフであるクリスチャン・ル・スケール氏やイタリアの同ダ・ヴィットリオのシェフ、エンリコ・チュレア氏など海外の3つ星シェフに実際に使用してもらい、レシピも作成してもらった。彼らがコメントするインタビュー動画はYouTubeにアップし、国内外で反響があった。冊子も作成して海外の展示会で配布するなど販促に活用している。
液体塩こうじは、最近では海外のパンメーカーにも採用されている。「パンに使うとふっくらしてもちもち感が出る。臭みを消す機能もある。海外でパンは主食だから広がりを期待している。海外での実績は国内に波及させる『逆輸入』の効果もある。塩こうじの海外での売上は前年比1.5倍と伸びており、今後も大きな可能性がある」と平田取締役は話す。