「AI活用」を武器に海外セブン-イレブンの変革も支える小売業の立役者
AIは「分析」から「実行」へ 仮想コンサルタントが業務を支援
さらに、AI活用は次のステージに進んでいるという。
それは、単にデータ分析結果を示すだけでなく、AIが「次に何をすべきか」を能動的に提案する「エージェント型AI」だ。ここで鍵になるのが生成AIである。
「例えば、担当者がAIと対話しながら、『今週、コーラの価格を5%下げたら売上と利益はどう変わる?』と問いかけると、AIがシミュレーション結果を提示します。それに基づき、その場で発注量を調整し、販促予算を決定する。AIが仮想秘書や内部コンサルタントのように機能し、担当者の意思決定から実行までをシームレスに支援する世界を目指しています」と藤原氏は続ける。この仕組みは一部でパイロット導入が始まっており、統合プラットフォームがもたらす価値をさらに高めていくという。
―成功への道筋:全体最適と部分最適の賢いバランス
高度なソリューションを前に、「どこから手をつけるべきか」という悩みも聞かれる。それに対して、「全体最適は目指すべきですが、プロジェクトの長期化を避けるため、部分的な改善から始めて段階的に成果を出すアプローチが現実的です」と福沢氏は語る。
ただし、サプライチェーンに関しては、部分的な検証では本質的な効果が見えにくいため、一定のスコープで全体像を捉えて進めることが重要だと指摘。プロジェクトの特性を見極め、最適なロードマップを描くことの重要性を強調した。
―日本市場への期待
最後に、日本の小売業のポテンシャルについて尋ねると、力強い答えが返ってきた。「日本のオペレーションレベルは世界的に見ても非常に高く、APAC市場をリードできるポテンシャルがあります。このイベントでグローバルな潮流や勢いに触れることが、日本の皆様が次の一歩を踏み出す良い刺激になるはずです」
成熟市場だからこそ、より精緻な最適化が求められる日本の小売業。RELEX社が示すAI活用の未来像は、その課題解決に向けた力強い解となる可能性を秘めている。