良品計画、営業収益1兆円突破めざし海外事業に本腰 

「無印良品」を展開する良品計画(東京都/清水智社長)の2025年8月期連結決算は大幅な増収増益で、27年8月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画で掲げる数値目標を1年前倒しのペースで達成する見込みだ。新たに掲げた今後の戦略としては、国内事業の収益性強化に加え、海外事業ではパリ、バンコク、ホーチミンの3都市それぞれに旗艦店を出店するなど、グローバルな成長戦略を描いている。

無印良品の看板

国内、海外ともに高成長 世界最大店舗も好調

 良品計画の25年8月期連結決算は、営業収益が対前期比18.6%増の7846億円、営業利益が同31.5%増の738億円、経常利益が同29.6%増の723億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同22.3%増の508億円だった。

 良品計画の清水智社長は「商品開発に加え、営業・販促の効果が継続しており、当初計画を大幅に上回って着地した」と手応えを語った。

 国内事業は、営業収益が同20.9%増の4701億円、営業利益が同31.2%増の521億円だった。新規出店による店舗数の増加に加え、恒例の「無印良品週間」をはじめとしたセール効果もあり、ECを含む既存店売上高が同13.5%と伸長したことで大幅な増収増益となった。

 カテゴリー別では、衣服・雑貨、生活雑貨、食品いずれも2ケタ伸長を果たしている。なかでも生活雑貨の「ヘルス&ビューティー」「ハウスウェア(日用消耗品)」が好調に推移しており、このうちヘルス&ビューティーの売上高は1000億円を突破した。

 東アジア事業は、営業収益が同14.2%増の2222億円、営業利益が同20.4%増の427億円とこちらも国内事業に続き2ケタ成長を見せた。とくに成長著しいのが、前期まで不振だった中国大陸事業だ。売上高は同18.3%増の1398億円。杭州や重慶などの主要都市で大型店を出店・改装したほか、スクラップ&ビルドによる立地再編を推進した結果、1店舗当たりの売上高が向上した。

 また、SNSなどを使ったマーケティング活動や、「W11(ダブルイレブン)」「618イベント」など中国ECの大型セールイベントに合わせたプロモーションも強化。その結果、ECを含めた既存店売上高が同10.0%増と大きく成長、とくにEC売上高は全体の2割を占める規模に成長している。

 欧米事業は、営業収益が同7.9%増の421億円、営業利益が同25.7%増の69億円だった。不採算店舗の閉鎖や構造改革の効果で収益性が改善した。また、欧州内でのECプラットフォームの統合や配送エリアの拡大により、EC売上の成長も顕著だった。結果、既存店とECの合計売上高は同12.3%増と2ケタ伸長している。

 出店戦略については、期中は国内外で146店舗を新規出店、39店舗を閉店した。純増数は107店舗で、期末総店舗数は1412店舗となった。25年3月に世界最大級の売場面積でオープンした世界最大店舗「無印良品イオンモール橿原」(奈良県橿原市)も好調に推移しているという。

 また、欧米は不採算店舗の閉鎖が完了し、26年8月期から出店を再開するとしている。

無印良品 イオンモール橿原
3月1日にオープンした奈良県橿原市の「無印良品 イオンモール橿原」は、8201㎡もの広大な売場に、無印良品のほぼフルラインアップとなる約7000アイテムを取り揃えた

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