薬王堂HD、上期は増収増益 新商勢圏・北関東での手応えと今後の戦略は
東北を中心にドラッグストアを展開する薬王堂ホールディングス(岩手県/西郷辰弘社長:以下、薬王堂HD)が2026年2月期の中間決算を発表した。上半期業績は増収増益となったものの、天候不順による既存店売上の伸び悩みにより、売上高、各段階利益は計画未達となった。25年4月に関東進出を果たし、新商勢圏の開拓を着々と進めている同社。10月14日に開催された決算説明会の内容をレポートする。
増収増益も計画未達 天候不順で既存店が伸び悩み
薬王堂HDの26年2月期上期業績(連結)は、売上高が対前年同期比7.9%増の828億円、営業利益が同9.2%増の34億円、経常利益が同7.4%増の35億円、親会社株主に帰属する中間純利益が同7.1%増の25億円だった。増収増益となったものの、売上高、営業利益以下の各段階利益いずれも計画を下回った。
売上高については、新規出店の遅れのほか、既存店売上高が計画値を下回ったことで計画未達となった。上期は東北エリアで10店舗のほか、栃木県5店舗、茨城県1店舗の計16店舗を新規出店、新商勢圏である関東エリアへと着実に歩を進めている。当初の上期出店計画18店舗からは2店舗減となっており、薬王堂HD常務取締役の西郷孝一氏は「建築の遅れのほか、主に関東地方の店舗で自治体の承認が遅れている」ことも原因として挙げた。
また、既存店売上高も同4.7%増と伸長しているものの、こちらも計画値には未達。4~5月にかけて気温が想定よりも上がらなかったことに加え、7月下旬から8月にかけて発生した台風などの悪天候が影響したという。
セグメント別の売上高では、「フード」が同10.1%増、「ホーム」が同8.0%増、「ビューティ」が同7.4%増だった。「フード」で好調なのは日配品や冷凍食品で、これらは改装店で冷蔵什器を増やして売場拡大を進めるなどの取り組みが奏功している。
「ホーム」では洗剤などの日用品が好調で、「値上げの影響を受けにくい商品構成にできている」(西郷氏)という。「ビューティ」では価格のアッパーなヘアケア用品が伸びており、粗利益率の向上に寄与しているとした。なお各セグメントで、粗利益率は前年同期を上回っている。
これにより、全体の粗利益率は同0.4%増の21.7%で計画値を上回った。西郷氏は「原価交渉や商品構成の見直しなど、粗利益率向上に向けた取り組みが成果をあげている」と手応えを話した。

販管費および一般管理費(販管費)は、新規出店費用などにより同9.7%増の144億円となった。人件費は、最低賃金の上昇や新入社員の増加などに伴い、同10.0%増の68億円となっているが、計画値以下で収まっている。また、電気代は、省エネタイプの冷蔵ケースや太陽光発電を使用する実験なども進め、電気代単価の削減に努めた結果、同0.6%減となっているものの計画は上回った。
販管費率は同0.3ポイント(pt)増の17.5%となっているが、「売上高の伸びが計画を下回ったことによるもので、経費自体は計画通りに推移している」(西郷氏)という。
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