インストア加工比率5割超！イオンリテールの新たな畜産売場「MEAT PARK」をレポート
イオンリテール（千葉県）は10月30日、「イオンスタイル伊丹」（兵庫県伊丹市：以下、伊丹店）の畜産売場を「MEAT PARK（ミートパーク）」として改装した。売場を6つのゾーンに分類し、既存店で2～3割となっているインストア加工比率を約5割にまで拡大している。同社西日本カンパニーの精肉部門における”旗艦店”に位置づけられる同売場のねらいに迫った。
6つの切り口で売場を展開！
イオンリテールは10月30日、伊丹店の畜産売場をミートパークとして改装オープンした。「イオンスタイル鶴見緑地」（大阪府大阪市：以下、鶴見緑地店）での実証を経てリニューアルしたもので、売場面積は約89.4坪と改装前の約1.8倍に拡大し、SKUは約400を揃えた。
多様化する消費行動や調理スタイルに対応することを目的に、対面販売と6つのゾーンを備え“お肉のテーマパーク”を標榜する。「ステーキ」「焼肉」「トンテキ」「やきとり」「ドカ盛り」「簡単調理」という明快な切り口でゾーニングすることで、来店客が目的に合わせて商品を選びやすくした。それに加えて、直営の対面コーナーを備え、オーダーカットや調理法の提案など、従業員とのコミュニケーションを通じた購買体験を提供する。
売場を具体的に見ていくと、「ステーキゾーン」では、ハレの日や週末の少し特別な食卓を想定し、赤身・霜降り・希少部位など多彩な牛肉を揃える。厚切りや薄切り、一口サイズなど、バリエーションを広げているのも特徴だ。
「焼肉ゾーン」では、牛・豚・鶏肉を扱う。中でも力を入れるのは牛肉だ。赤身や霜降り、タン・ハラミ・カルビに加え、内臓や希少部位を幅広く展開する。少量パックも豊富に揃えることで、多様なニーズに応える。
「トンテキゾーン」は鶴見緑地店での実験において最も販売が伸びたコーナーだ。伊丹店では鶴見緑地店よりも品揃えを豊富にし、肩ロース肉・ヒレ肉を中心に、厚切りサイズや骨付き、味付け肉など展開している。
「やきとりゾーン」では、串に刺した焼き鳥に加え、鍋の具材としても活用できる串なしの焼き鳥肉を揃えた。モモやムネに加え、せせりやハラミといった希少部位も販売し、多様な調理用途に対応する。また、「他社での商品展開が少なく、差別化商品になっている」（釼持氏）という鶏肉の薄切りも展開。火が通りやすく、しゃぶしゃぶとしても楽しめるという。
「ドカ盛りゾーン」は、まとめ買いや冷凍ストック需要に対応する牛・鶏・豚肉の大容量パックを揃える。500gから1kgを中心に、薄切り、こま切れ、ミンチ、唐揚げ用、骨付き肉など多彩な商品を販売する。
「簡単調理ゾーン」はタイパ志向の高まりに応える。牛・豚・鶏それぞれのカテゴリーで、下味つきや真空調理対応など加工度の高いアイテムが並ぶ。
そのほか独立した対面コーナーを備えている。うす切り肉やステーキ肉、焼肉用商材、ホルモンなどを幅広く取り揃え、希望の厚さや分量にその場でカットする。調理法の相談にも対応し、利用シーンに合わせた提案を行う。
対面販売は鶴見緑地店では委託運営だったが、伊丹店では直営化し、社員が直接接客する。顧客とのやり取りを通じて社員の販売技術を磨く場にもなっている。
以上のような売場づくりを通じて、「ミートパーク」は改装前比1.4倍の年間売上をめざす。