”昭和的経営”で快進撃! D2Cマーケの成長株・売れるネット広告社グループ成長の理由

3年以内に10社の子会社化をめざし、売れるネット広告社グループ(福岡県)が事業拡大を加速中だ。最先端のノウハウと技術でD2Cマーケティング支援を手がける会社ながら、成功の秘密は昭和的で“ウエット”な経営にあるという。加藤公一レオ社長CEOに話を聞いた。

ネット広告×ネット通販はカツカレー

売れるネット広告社ABテスト
ABテストの結果を受けて申し込みボタンの色も変える

 加藤社長は三菱商事を経て、広告代理店のハバス・ワールドワイド・ジャパン(現ハヴァスジャパン)、アサツーディ・ケイ(現ADKホールディングス)でネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに一貫して従事し、2010年に売れるネット広告社を創業。仮説ではなく「事実」で費用対効果と売上を上げる広告を追求してきた。ABテストを繰り返し、その結果を再現する「最強の売れるノウハウ」をクラウドサービスに機能化。23年には東京証券取引所グロース市場に上場。25年1月1日付で商号を売れるネット広告社グループに変更してホールディングス体制に移行した。

「もともと広告といえば、テレビCMや新聞・雑誌などのイメージ型で、マスメディアを利用してブランディングを図る手法が中心だった。その中で自分は独自のポジショニングを確立するため、逆張り戦略でネット広告に目を付けた。当時はニッチだったが、景気が悪くなれば広告主の費用対効果の意識が高まると考え、必ずネット広告の時代が来ると確信していた。ご存じの通り、今、ネット広告が世界で一番取扱高が多い。ネット広告に携わるようになって20年以上経つが、一度も売上を落としたことがない市場で、右肩上がりの成長を続けている数少ない分野。その中でもネット広告とネット通販の組み合わせは最強。いわば『カツカレー』のようなものだ」(加藤社長)

 日本における中小企業の割合は99.7%を占めており、余計なコストはかけずに売上に直結する広告が求められるのは当たり前。商品を選んでカートに入れるECシステムが主流だった時代にいち早く目を付けたのが、スクロールして読み進めていく中で、営業トークのようにサイトユーザーを説得して申し込みフォームまで誘導する縦長のランディングページ(LP)だった。導入した当時、日本ではウェブチラシと呼ばれた。

アンケート形式のLPイメージ
アンケート形式のLPイメージ

「今はさらに進化している。特に増えつつあるのが、即購入ではなく、いくつかの質問に答えることでモニター参加や商品サンプル送付を申し込むアンケートLP。商品理解を深められることから最終的な成果に至るコンバージョン率(CVR)が向上し、2倍以上になっているところも多い。例えるならば、『結婚してください』といきなりプロポーズするのではなく、『まずはデートしてみませんか』と誘いかけるスタイルがトレンドになっている」(加藤社長)

ページ: 1 2 3

Previous Post Next Post