トンカツ市場の空白地帯!? 物語コーポレーションが挑む低価格&郊外立地新業態の勝算
ランチのトンカツ定食が1000円を切る

ロース堂は、30~40代のファミリー層をコアターゲットとしている。看板メニューは、豚肉本来の旨みを引き出した、こだわりのトンカツが自慢の「ロースかつ定食」(税込1089円)。トンカツは120gというボリュームながら、ランチタイムには、なんと同979円と、1000円を切る圧倒的なコストパフォーマンスだ。
店内で精米し、羽釜で炊き上げたご飯、産地直送の旬のキャベツもおかわり無料だ。「そうした無料サービスは言わば、トンカツ専門店の“基本価値”なので、既存店との競合を考えたときに譲れないポイント」と、加藤社長は明かす。
多様なニーズに応え、ファストフードと差別化するため、定食以外にも、「厚切りロースの綴じないかつ丼」(同1199円)、「月見ロースかつカレー」(同1089円)などを揃える。オプションで、お得な「そばセット」「うどんセット」(同429円)にすることもできる。一方で、一般のトンカツ専門店よりラインアップを絞り込み、オペレーションを効率化する。
「豚肉は部位の選び方、切り方や揚げ方などの調理法によって、味が大きく違ってくる。ロース堂の肉は米国から輸入しているが、船便で運んでいる間に、いい具合に熟成する。そこで店名でも“熟成肉”とアピールし、特徴づけることにした」(加藤社長)

店内は白木をベースとした“和”を感じさせるデザイン。広々としたスペースで、ファミリー層がゆったりと過ごせるようにこだわった。専門性を追求しつつも、オープンキッチンでシズル感を演出するなど、さまざまな取り組みを重ね、「新しいトンカツ屋さん」のイメージを積極的に訴求していく。「屋号は、豚肉の“ロース”と和風を感じさせる“堂”を組み合わせて、新味を出した。幅広い世代のお客さまに親しまれ、利用しやすい店舗づくりをめざしている」(同)