ブーム終焉も販売好調! ハナマルキが「液体塩こうじ」が拓く新たな市場とは

みそメーカー業界大手のハナマルキ(長野県/花岡周一郎社長)が米こうじと塩、水だけで作る調味料「塩こうじ」の拡販に力を入れている。独自の製法で開発した液体タイプ「液体塩こうじ」を軸に据え、家庭用だけでなく国内の業務用、海外向けも拡大、今期は塩こうじ事業で売上高20億円をねらう。みそ、即席みそ汁と並ぶ第3の柱に育てたい考えだ。

「ブーム後も伸びる」と社長が直感

ハナマルキ塩こうじ
ハナマルキが拡販に力を入れる「液体塩こうじ」(写真左)と「塩こうじ」(写真右)

 ハナマルキの2024年12月期の売上高は230億円。商品はみそ、即席みそ汁、塩こうじなど合わせて約600品目を展開している。製造工場は本社を構える長野県伊那市の伊那工場、群馬県大泉町にある大利根工場、そしてタイ工場がある。

 全売上の約半分は100年以上前から製造しているみそ、それに続くのが即席みそ汁で、この2つで売上の9割以上を占める。同社が次の柱として期待しているのが酵素の力でうま味を引き出し、肉や魚を柔らかくする発酵調味料、塩こうじだ。

 塩こうじは、2011年にテレビ番組が取り上げたのをきっかけにブームになった。原料が米、塩と、みそと共有することや、設備投資も少なくてすむことから、みそメーカーがこぞって参入した。

 ハナマルキも2012年4月に粒状のタイプを発売。「液体タイプがあったら調理がしやすく便利なのに」という声が当時の花岡俊夫社長(現会長)の耳に入り、半年後の10月には独自の技術で液体化し、手軽に使えるようにした「液体塩こうじ」の発売にこぎ着けた。

 2013年にブームは収束したが、花岡社長と花岡周一郎常務(現社長)は「液体塩こうじは基礎調味料として将来の売上の柱になる」と確信。戦線を後退させることなく、引き続き普及営業を強化した。

 経営トップがまだ成長すると信じたのには理由がある。1つは後に特許を取得するなど製造技術を持ち、商品にオリジナル性があるからだ。もう1つは調理がしやすいこと。液体タイプなら肉や魚を漬け込みやすく、炒め物にも使えて汎用性が高いからだ。

 海外市場でも戦えるという読みもあった。粒タイプは敬遠されるかもしれないが、液体タイプだと調理に使いやすく、提案がしやすい。原料が米、塩、水だけ、とシンプルな点も強みになると見たのである。

ページ: 1 2 3 4

Previous Post Next Post